新卒2年目WEARのiOSエンジニアが行くWWDC24現地レポート

新卒2年目WEARのiOSエンジニアが行くWWDC24現地レポート

こんにちは、ブランドソリューション開発本部でWEAR by ZOZOのiOSアプリの開発を担当している新卒2年目の山田(@gamegamega_329)です。

今年もWWDCはオフラインとオンラインの同時開催となり、私は昨年に引き続き、2年連続で現地参加しました。昨年の現地レポートは下記の記事をご覧ください。

techblog.zozo.com

本記事では、現地ならではのイベント内容や雰囲気などを中心に、可能な範囲でご紹介します。現地参加の魅力や、実際に体験した貴重な瞬間をお伝えできればと思います。

WWDCとは?

WWDC(Worldwide Developers Conference)は、Appleが毎年開催している開発者向けの重要なカンファレンスです。このイベントでは、OSのアップデートや新しい開発ツールが発表され、開発者にとって大変有益な情報が提供されます。昨年に引き続き、今年もオフラインとオンラインのハイブリッド形式で開催されました。

スケジュール

日付 時間(Pacific Time) コンテンツ 場所
6/9 3:00 PM ・Early Check-in
・Design Award
Infinite Loop
6/10 8:00 AM ・Check-in Apple Park Visitor Center
10:00 AM ・Keynote Apple Park
1:30 PM ・Platforms State of the Union Apple Park
2:00 PM ・Discover Apple Park Apple Park Inner Ring
2:00 PM ・In-person labs Apple Park Caffè Macs
6/11 6:00 PM ・Evening Session Developer Center

Day 0 - 6月9日

Welcome Reception

今年もイベントの前日にInfinite LoopでWelcome Receptionが開催されました。

Infinite Loopの入口に立つ筆者

このイベントでは、事前にチェックインができるため、翌日の入場がスムーズになります。さらに、早めにイベントの雰囲気を楽しめるだけでなく、ノベルティも一足先にゲットできます。

Infinite Loop内にあったWWDC24のオブジェ

今年のノベルティ

今年のノベルティはピンバッジ、バッグ、水筒、レジャーシートでした。これから日本は暑くなるので、これらはBBQなどで大いに活躍しそうです。さらに、Apple Vision Proのピンバッジを手に入れられ感動しました。帰国したらバッグにつけようと思います。

WWDC24のノベルティはピンバッジ、バッグ、水筒、レジャーシートの4種類

受付を終えた後

軽食やドリンクを楽しみながら、参加者同士での会話を楽しみました。提供された食べ物や飲み物は、唐揚げ・春巻き・アイスクリーム・コーラなど多岐にわたり、食べ放題なので時間いっぱい楽しめます。ただし、次の日の胃もたれや顔のむくみには注意が必要です。

軽食コーナー

ドリンクステーション

暑さを和らげてくれたアイスクリーム

デベロッパーとの交流

アメリカ・インド・中国・韓国・ブラジルなど、多くの国籍のデベロッパーやデザイナーと交流しました。特に私は個人でリリースしたアプリの話で盛り上がり、ヘルスケアアプリや大学案内アプリ、ジェスチャー認識アプリなど、様々なアプリについて語り合いました。

現地で出会ったデベロッパーとの記念写真

私が開発した「腹筋ローラーアプリ」を紹介すると、多くの人が「Amazing」と称賛してくれました。この日に話した多くの人が個人でアプリをリリースしていて、熱い想いを共有できたのは忘れられない思い出になりました。

Apple Design Awards

Infinite Loopの食堂内には、Apple Design Awardsのトロフィーが展示されていて、このトロフィーには受賞者の名前が刻まれていました。サンプル品を手に取ると、見た目よりも重量感があったので驚きました。Welcome Receptionが終わった後、表彰者のみで表彰式が行われるとのことでした。

Apple Design Awardsの受賞者に贈られるトロフィーのサンプル

気づけば7:00 pmを過ぎ、気温が下がって羽織ものがないと寒いくらいになっていました。こうしてDay 0が終了しました。

Day 1 - 6月10日

開場は8:00 amからですが、最前列を確保するために6:30 amから並び始めました。グループ会社であるLINEヤフーのエンジニアをはじめとする日本のデベロッパーたちと一緒に並びました。早朝なので少し肌寒く感じました。

待ち時間には、ポンデリングのようなモチモチのドーナツや、香り高いコーヒーが提供されました。おいしいスナックを楽しみながら、開場を心待ちにする時間はとても充実していました。

開場するまでの待ち時間にはドーナツやコーヒーが提供された

昨年は最前列に座っていましたが、今年は最前列から3列目までがEnterprise席として確保されていたため、私の席はそのすぐ後ろの4列目となりました。実質的には最前列に近い席で、安心しました。

昨年と異なり前から3列目まではEnterprise席だったので4列目に着席

席を取った後、Keynoteが始まるまでの間に用意されていた朝食を楽しみました。WWDCに参加すると、朝から夜まで食事が提供されます。どんな食事が提供されたのかについては、最後にご紹介します。

Keynoteが始まるまでの時間は周りを散策して過ごしました。OpenAI社のCEOであるサム・アルトマン氏にも遭遇しました。この日の最高気温は34度で、Keynoteが始まる直前には日差しが強くなったため、サングラスをかけて待機していました。

Keynote

www.youtube.com

CEOのティム・クック氏とSenior Vice Presidentのクレイグ・フェデリギ氏が壇上に立ち、短い時間トークしました。その後、Keynote本編のビデオが会場内のスクリーンで再生されました。

CEOのティム・クック氏とSenior Vice Presidentのクレイグ・フェデリギ氏

今回の目玉は、発表前から噂されていたAI「Apple Intelligence」でした。

www.apple.com

発表の瞬間、会場は拍手喝采で大いに盛り上がりました。このAIは独自のモデルであり、ChatGPTとの連携も可能ですが、単独でも機能するのが特徴です。その他にも、コントロールのカスタマイズやMath Notesなど、様々な新機能に胸を躍らせました。

会場が沸いたApple Intelligenceの発表

このアップデートによって、アプリ内だけでなく、Apple Intelligenceや他のアプリとの連携を含めて、どのように自社サービスを活用してもらうかを考える必要があると感じました。

Platforms State of the Union

www.youtube.com

Keynoteに続くPlatforms State of the Unionは、強い日差しを避けるために別の席から観ました。

Platforms State of the Unionは室内で視聴

私が特に注目したのはXcodeの新機能「Swift Assist」でした。この発表でも大きな歓声が上がり、会場は大いに盛り上がりました。GitHub Copilotが発表されて以来、iOSエンジニアたちはこの機能を待ち望んでいたことでしょう。

他にも、Swift TestingSwiftDataのアップデートなど、デベロッパーにとって魅力的な発表が多く、非常にワクワクする内容でした。

Discover Apple Park

セッションが終わった後には、Appleのエンジニアやデザイナーに直接質問できるラボの時間や、Apple Park内を自由に散策できる時間がありました。私はすぐにApple Parkを散策することにしました。その魅力的な見どころをいくつか紹介します。

まず、目を引くのは巨大な虹のオブジェです。まるで夢の中にいるかのようなこの場所で、私はジャンプして記念写真を撮りました。

巨大な虹のオブジェの前でジャンプして記念撮影

次に訪れたのは、まるで本物のような人工池です。波の音が心地よく流れていて、最初は本物の池だと勘違いしてしまいました。波の音も実はスピーカーが巧妙に配置されていて、そこから音が流れているとのことでしたが、スピーカーの場所は全く見つけられませんでした。

本物の池だと勘違いした人工池

さらに、この探索中にバナナチョコレート味のアイスクリームを配っていて、思わず手に取ってしまいました。暑い日にはぴったりのご褒美でした。

また、Download Stationでは、有線接続で最新のXcodeを高速ダウンロードできました。開発者にとっては嬉しい限りです。早速、私も最新のXcodeをその場でインストールしました。

高速な回線が用意されていたDownload Station

In-person Labs

散策を終えた後は、Appleの社員に質問できる時間を存分に楽しみました。

Caffè Macsでは、各エリアに担当者が配置されており、その分野のスペシャリストに直接質問できます。オレンジエリアは3階、紫エリアは外で行われていました。

In-person Labsの配置図

スタッフの役割は着ているTシャツの色で分かります。詳細な技術に詳しい担当者や、広範囲にわたってメンバーの役割を把握している案内スタッフなどがいました。

Tシャツの色分けでスタッフの役割がわかりやすくなっていた

私は、セッションビデオで興味を持ったApple Intelligence、SwiftUI、Xcodeに関連する質問を投げかけました。特に、どのような仕組みで動作しているのかや、開発チームの規模について詳しく聞きました。

また、予約制のDesign Labもあり、自分のアプリをデザイナーに見せて直接フィードバックや感想をもらえます。細かなニュアンスなどの説明が難しかったので、翻訳アプリを使ってやりとりしましたが、スタッフは快く対応してくれました。

私は、自分が担当しているリニューアルしたWEARアプリを見せてフィードバックを受けました。良い点や改善点、全体的な所感について話し合いました。デザイナーによっては、絵を描いて提案してくれることもあり、ワイヤーフレームが印刷された用紙を持っているデザイナーもいました。

提供されたご飯たち

朝食には、クロワッサンやパイのような食感のエンパナーダ、フルーツの盛り合わせ、オーバーナイトオーツなど、普段食べることの多くない珍しいメニューが並びました。

朝食

昼食はたくさんメニューがありましたが、その中でも、グリルチキン&キノアサラダ、ティラミスを選びました。

昼食

昼食と同様、夕食も多くのメニューがありました。その中でも、私はクリスピーチキンワッフル、フルーツタルトとチョコレートキャラメルバー、プラリネクリームのシュークリームを選びました。

夕食

食事の時間以外でもスナックやドリンクが配られていました。

豊富に用意されていたドリンク

おやつのドライフルーツ

Day 2 - 6月11日

この日は予約制のセッションに参加しました。セッションは「Morning」「Afternoon」「Evening」の3つの時間帯から選べます。ただし、予約数に限りがあるため、早めに好きな時間帯を選ぶ必要があります。私は「Evening」のセッションのみ予約できました。

Evening Session

会場はDeveloper Centerで、生のプレゼンテーションを体験できる貴重な機会でした。プレゼンテーションはとてもカッコよく、迫力満点で、いつか自分もこんな発表ができるようになりたいと感銘を受けました。

参加したEvening Sessionの様子

ライブコーディングやデモなど、予約制ならではの特別な内容が盛りだくさんで、参加した甲斐がありました。

Appleスタッフ&デベロッパーとの交流

セッションが終わった後は、軽食を楽しみながら、セッションのプレゼンターやAppleのデベロッパー、さらには各国のデベロッパーたちと交流しました。

Evening Session後の交流会で提供されていた軽食

この時間をフル活用して、初日のIn-person Labsで聞き逃してしまった質問や、セッションを通じて気になったことを、セッションのプレゼンターやAppleのデベロッパーに直接聞きました。それだけでなく、ブラジルの学生とも仲良くなり、セッションの感想を語り合ったり、雑談を楽しんだりしました。

その他

現地での過ごしやすさ

WWDC24の会期中は全て快晴に恵まれましたが、一日の寒暖差が激しいものでした。日中は暑く、気温は28〜31度に達しましたが、夜18時頃から急激に冷え込み、20度前後まで下がりました。日中の服装としてはTシャツと長ズボンが適していましたが、夜間の急な冷え込みに対応するため、羽織ものを持参するべきでした。

日本の開発者たちとの交流

iOS界隈で著名な方々が多く参加している印象を受けました。会うたびに情報交換することが多く、有益な時間を過ごせました。また、Swift Student Challengeの参加者とも交流する機会があり、地域活性化のアプリを開発している方とお互いのアプリを紹介し合う場面もありました。さらに、日本のAppleエバンジェリストの方が親切に案内してくれたので、非常に助かりました。

現地参加するなら用意・準備しておくと良いこと

  • 日本コミュニティに参加して、事前に情報収集しておくこと(例:try! SwiftのDiscord)
  • 日差しが強いので、日焼け止めやサングラスを持っていくこと(私は現地のゴルフショップでサングラスを購入しました)
  • 基本的に現金を持たずにクレジットカードで支払いできるが、紛失や盗難の対策を講じておくとなお良い
  • 自社サービスや個人で開発しているアプリがあれば、アピールできる資料やノベルティなどを準備すると良い
  • 英語が不慣れな場合でも、1か月間英会話の学習を頑張れば、翻訳アプリを活用しながら通用するレベルになる
    • ただし、ラボなどでの技術的な会話は難しいので、事前準備は必須

最後に

今回、ZOZOからは私一人が参加し、2年連続でのWWDC現地参加となりました。昨年にはなかった要素や新たな発見、学びが多く、とても充実した日々を過ごせました。

決して英語が得意とは言えない私でも、Appleスタッフ、日本のエンジニア、そして気さくに話しかけてくれた多国籍のデベロッパーたちのサポートのおかげで、WWDCを存分に楽しめました。Appleコミュニティの素晴らしさを改めて実感しました。

次回以降のWWDCで現地参加することになった方々にとって、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。


「WWDC24 報告会 at LINEヤフー, ZOZO」を開催します

6月26日(水)に、WWDCに参加したLINEヤフーとZOZOのエンジニアが、それぞれが興味のある分野について、新しく発表された技術や得た知見、情報などを共有する「WWDC24 報告会」を開催します。昨年に続き私も登壇予定です。ご興味のある方はぜひご参加ください。

lycorptech-jp.connpass.com


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