こんにちは、ZOZOTOWNアプリ部の@inokinnです。
日本時間の6月7日から11日にかけてWWDC22が開催されました。
今年のハイライトは、iOS 16でのロック画面のアップデートをはじめ、WeatherKitやSwift Charts、Passkeysなどの、数多くの新機能の発表だったかと思います。
今年は去年と一昨年に続いてのオンライン開催に加え、抽選に当選すれば現地であるApple Parkでのパブリックビューイングにも参加できました。そして、なんと幸運にもZOZOからも3名が当選し、現地に赴きました!
本記事では、WWDC22でZOZOのiOSアプリ開発メンバーが取り組んだことを紹介します。また、ラボでAppleのスタッフから得られたフィードバックや、海外出張したメンバーによる現地レポートも可能な範囲で公開します。是非最後までご覧ください。
WWDCについて
WWDC(Worldwide Developers Conference)は、Appleが年に1度開催している開発者向けのカンファレンスです。今年は2019年以来、3年ぶりに現地でもイベントが開催されたので、当選したメンバーは業務の一環として現地参加しました。ZOZOの開発部門では、海外カンファレンスを含むセミナー・カンファレンス参加支援制度が用意されています。
現地で楽しむWWDC22
こんにちは、ZOZOTOWNアプリ部の小松、荻野とWEAR部の坂倉です。
コロナ禍になってから完全オンライン開催のWWDCでしたが、なんと今年は一部オフライン開催もありました。案内としては、6月6日のKeynoteやPlatforms State of the UnionなどをApple Parkでライブビューイングできるとのことでした。
現地参加のスケジュールは以下の通りです。
時間(PST) | コンテンツ | 場所 |
---|---|---|
7:00 AM | チェックイン | Apple Park Visitor Center |
8:00 AM | 朝食 | Apple Park - Caffè Macs |
10:00 AM | Keynote | Apple Park |
12:00 PM | 昼食 | Apple Park - Caffè Macs |
1:00 PM | Platforms State of the Union | Apple Park |
2:30 PM | Meet the Teams | Apple Park - Caffè Macs |
4:30 PM | Apple Design Award | Apple Park |
また、今年は参加記念品として以下のものをもらえました。個人的にお気に入りなのは、Swiftロゴの入ったトートバックです。MacBook Proも入るサイズで愛用しています。
6月5日 - イベント前日
6月5日はイベント前日ではありますが、アーリーチェックインが可能になっており、先行でDeveloper Centerのオープンハウスも開催されていました。
会場はお祭りさながらの雰囲気で非常に盛り上がっていました。
早々にチェックインを済ませ、Developer Centerへ。
Developer Centerはエンジニアやデザイナーが交流したり学ぶための施設とのことですが、Apple Storeさながらのお洒落な部屋がいくつも用意されていました。
実際にコードを書いて学べるワークショップ用の部屋や、壁に巨大なホワイトボードが設置されたUI設計用の部屋、製品設計用の部屋などがありました。あまりの綺麗さに一度はここで仕事をしてみたいと思いました(ちなみに各部屋はこれまでのmacOSの名前が付けられています)。
一番驚きだったのが、Big Surと呼ばれる放送スタジオです。
そこはまるで映画館のような空間になっており、小さな文字もしっかり読める高解像度の超巨大モニターや、色々な角度から音を鳴らすことができるサウンドシステムには度肝を抜かれました。
放送スタジオということで、ここでAppleが観客の前でKeynoteを催すことはないのかもしれませんが、この空間で一度Keynoteを観てみたいと思いました。
6月6日 - イベント当日
ライブビューイング
6月6日、イベント当日。朝の入場待ちの列ではコーヒーが配られ、これから初公開のApple Parkへと足を踏み入れる人たちの熱気に包まれていました。
Appleのスタッフに歓迎されながら道を進むと、ついにApple Parkが姿を現します。汚れひとつない全面ガラス張りの外観は息を呑む美しさでした。
Apple Parkの中に入って朝食を受け取り、大きなスクリーンが置かれている広場であるCaffè Macsへ進みます。
メインスクリーンの正面の部分は窓ガラスが可動式になっており、屋内・屋外どちらからでもスクリーンが見られるように開かれていました。こんなに大きな窓ガラスが本当に動くのか…と規格外の大きさに圧倒されてしまいます。
Keynoteが始まるまでの時間ではAppleのスタッフがいたるところで踊っていたりとお祭りムードでした。
画面が暗転し、ついにKeynoteのライブビューイングが始まると思いきや、そこに現れたのはなんとティム・クックとクレイグ・フェデリギ!
座っていた参加者は全員立ち上がり、先ほどまでの熱気がより一層強まりました。
Keynote本編では、iOS 16や新型MacBook Airをはじめ、さまざまな新機能の発表がありました。新しい機能が発表されるたびに起こる拍手や歓声で喜びを共有できるのは、現地ならではの良さだなぁと感じました。
ちなみに、Keynoteのライブビューイングの中で最大の盛り上がりを見せたのは、超高速で移動するフェデリギ氏がスーパースローで髪を掻き上げているシーンでした(笑)。
Keynoteが大盛況の中終わると、お昼休憩を挟んでPlatforms State of the Unionが始まります。
State of the UnionではXcode CloudやSwiftUI、iOS 16のアップデートに伴うWidgetKitなど、新機能の紹介が行われました。ここでもKeynoteと同様に、リアクションが会場全体から漏れてきます。
ライブビューイングが終了した後は、Apple Park内の公開されているエリアを探索しました。
Appleのスタッフによると、3階からのCaffè Macsの景色がApple Parkで1番美しいスポットとのことでした。3階まで登ると円形になっている建物の全体を見渡すことができ、1番というのも納得の光景が広がっていました。
また、探索中にAppleのスタッフからAppleの環境や運動に対する取り組みに関する話を聞くことができました。
Apple Parkは建物部分が敷地全体の20%しかないらしく、緑との共生を大切にしているとのことでした。また、こうして緑を多くすることによって積極的に外に出るような環境を作り、他のチームとの交流や歩きながらのミーティングを促進しているらしいです。
Apple Park内にはバスケットボールのコートやテニスコート、サッカー場などがあり、日本では絶対にできないような土地の使い方を見ると、さすがアメリカだなぁと感じます。
Meet with Teams
Platforms State of the Unionが終わると、Caffè MacsではMeet with Teamsというイベントが行われていました。ここではさまざまな分野のAppleのエンジニアが常駐しており、気軽に雑談ができました。実際に、自分はXcodeエンジニアとFitnessエンジニア、UIKitエンジニアと話しました。
Xcodeエンジニアとは、Xcode AppはXcodeで作られているのか、Appleのエンジニアだったら常に最新のMacに交換し放題なのかといった話をしました。こういったカジュアルな雑談ができるのはラボとの大きな違いだった思います。専門的な話になるとラボを勧められるといった雰囲気でした。
オンラインで楽しむWWDC22
海外出張した3名以外の、ほとんどのメンバーはオンラインでWWDC22に参加しました。開催期間中、ZOZOTOWNアプリ部のメンバーは、現地の時間に合わせて日本時間2:00〜11:00を勤務時間としていました。
チーム内で情報を共有するため、毎日1回、ビデオ通話でのミーティングを行っていました。また、分担して視聴したセッションのサマリや、ラボやラウンジで得た情報はMiroに一元管理して共有していました。色々な情報が共有されたため、WWDC22の全日程が終了した後にはボードの様子は以下のようになっていました。
このやり方は去年のノウハウを活かしたもので、下記のWWDC21参加レポートにより詳しく公開しているので、よろしければこちらもご覧ください。
Digital Lounges
WWDC22では、去年に引き続きオンラインならではの取り組みが実施されていました。
「Digital Lounges」はその1つで、Slackを用いて、Appleのエンジニアやデザイナーにチャットで質問することが出来ました。
質問以外にも、ラウンジ上では「Trivia Night」というイベントも開催されていました。これは、Appleプラットフォームに関するトリビアクイズが出題されるというものです。プログラムの実行結果に関する問題や「Apple社の祝日はいつ?」といったApple愛を試されるクイズも出題されました。
Challenges
「Challenges」も、オンラインならではのコンテンツでした。こちらは、いくつかの提示されたお題の中から好きなものに取り組むことが出来るコンテンツです。取り組んだ結果をラウンジでAppleのスタッフや世界中のiOSアプリ開発者たちに公開して意見をもらったり、SNSで共有して盛り上がったりすることが出来ます。お題にはバリエーション豊かなものが毎日追加されるので、興味のあるものに挑むのが楽しかったです。
私も「Pixel perfect design」という、アプリのアイコンをピクセルアートで表現するお題に挑戦し、弊社アプリ「ZOZOTOWN」のアイコンを描いてみました!
Digital Loungesで見ていただいたところ、お褒めの言葉と同時に「文字のラインを2pxではなく1pxで表現してみては?」というフィードバックをいただけました。得られたフィードバックを反映し、ピクセルアートをこのように改善することが出来ました。
TAKE 1 | TAKE 2 | TAKE 3 |
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この作品はApple公式サイトの WWDC22 Daily Digest: Wednesday にも取り上げていただけました!
Source: https://developer.apple.com/news/?id=pcfa7nkx
Labs & Sessions
今年も、ラボではAppleのスタッフからフィードバックを得ることが出来ました。WWDC22に参加したZOZOメンバーから、それぞれが参加したラボで得たフィードバックや、視聴したセッションで得た内容を一部紹介します。
Design Lab × FAANS
こんにちは、FAANS部iOSチームの中島です。Design LabでAppleのデザイナーにFAANSアプリのフィードバックを頂いたので、紹介いたします。
投稿フローに対するフィードバック
FAANSはWEARと同様にコーディネートを投稿でき、投稿写真の明るさ調整の機能があります。スライダーで「明るさ、コントラスト、彩度」の数値を変更するのですが、この機能に対し「プリセットを提供し、ユーザーが簡易的に明るさを調整できるようにしてはどうか」というフィードバックをいただきました。投稿フローにかかる時間の短縮方法を検討していましたので、今後の改善の参考にしたいと思います。細かいフィードバックをいただいたものの、コーディネート投稿フロー全体として完成度が高い、といっていただけたので今後の開発の励みになりました。
着用アイテムを登録する機能に対するフィードバック
投稿するコーディネートに着用アイテムを紐付けする機能があります。具体的にブランドをどのように選べばいいのか、という質問を受けました。品番/バーコードでの登録、お気に入り(クローゼット)からの登録、カテゴリ、カラー、ブランドを入力して該当の商品を一覧から探して登録、の3種類の方法があります。選択肢が多いことはユーザーを迷わせる原因になると思いましたので改善していきたいです。
通知の活用
FAANSはショップスタッフが主なユーザーです。コーディネート投稿機能に加え、在庫取り置きの機能があります。今のUIだとコーディネート投稿の結果確認がメインになっており、店舗取り置きの導線が少しわかりにくいという問題点に対し、どのように思うか質問しました。店舗取り置きがある場合、見逃さないようにする必要があるのでアイコンに赤い丸をつける等、通知という形でわかれば問題ないという回答をいただきました。
Design Labを利用した感想
FAANSアプリはWEARやZOZOTOWNとも連携する部分があり、英語での説明も相まって、そもそもどのようなアプリなのか説明するのが難しかったです。ユーザーが限られているというのはあるのですが、対象のユーザーでない人でも直感的に理解、操作できるように改善していきたいです。Design Labを利用したのは初めてでしたが、とても有意義なラボでしたので来年も利用したいです。
WeatherKitはWEARを拡張するか
こんにちは、WEAR部iOSブロックのしょうごです。個人的にファッションと天気の相関性について、以前より注目をしていました。
なぜなら、冷夏や暖冬といった異常気象の季節には、季節物の販売不振に陥るケースがあります。そのため、ファッションコーディネートアプリのWEARとしても、ファッション業界の動向は注視する必要があると思います。そこで、異常気象によるWEARへの悪影響を想定した場合、アパレル商品の流通量の低下の影響から、ユーザーログイン頻度の低下などは考えられると思います。故に、異常気象の影響を少しでも緩和できる仕組みが備わっていれば尚良いと思っており、以下の様な事を考えていました。
- WEAR自体が天気情報をユーザーにPUSH通知を用いて知らせ、WEARアプリに誘導する
- 多くの人々は外出する前に天気予報を確認するため、アプリのユーザーにとってもメリットがある
- アプリを開いた後ユーザーの位置情報をもとに、気温や湿度情報などからよく使われる服をレコメンドする
- 結果として、人々のファッションの悩みを解決するというWEARのミッションも果たせるかもしれない
今回発表のあった内容によるとWeatherKitは、非常に詳細な気象データを取得できるようです。詳細な気象データを取得可能な理由として、高解像度の気象モデルと機械学習および予測アルゴリズムを使用し導き出しているとセッション中で説明がありました。取得できる情報の詳細はMeet WeatherKit - WWDC22をご参照下さい。
読者の皆さんはWeatherKitに関してどの様な印象をお持ちになりましたか? 技術は使い方次第で可能性は無限大です。WEARに関して考えてみると、個人的にWeatherKitとの親和性は高いと考えています。なぜなら、WeatherKitの精度次第では、天気情報をベースとした新たなファッションの提案が可能になると考えたからです。また、既存のWEARを拡張してユーザーとのタッチポイントを増やす事ができるというシナジーも期待できます。今後WEARならではの新たなサービスを生み出す事も、可能かもしれません。そして、コーディネートと天気の親和性が高いファッション業界に、ZOZOらしくテクノロジーの力を用いて一石を投じる可能性もあると考えています。
まとめ
本記事では、WWDC22の参加レポートをお伝えしました。
海外出張で現地参加したメンバーも、オンラインでリアルタイムに情報をキャッチアップしたメンバーも、それぞれに実りあるイベントでした。今回得られた知見やフィードバックをもとに、より良いサービスの向上に努めていきたいと思います!
さいごに
ZOZOでは、一緒にモダンなサービス作りをしてくれる仲間を募集しています。ご興味のある方は、以下のリンクから是非ご応募ください!
https://hrmos.co/pages/zozo/jobs/0000012hrmos.co