「挑戦させすぎ?」マネジメント勉強会で分かった組織課題とその解決策

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こんにちは、ZOZOテクノロジーズSREチームリーダー兼組織開発チーム所属の指原(@sashihara_jp)です。

この記事では2019年12月から全11回開催してきた「マネジメント勉強会」を通じて分かってきたZOZOテクノロジーズの組織課題と、これから取り組もうとしているその解決方法を紹介します。

ZOZOテクノロジーズの社員構成

まず、弊社について簡単に説明します。弊社は株式会社ZOZOの100%子会社であり、親会社のZOZOと子会社のZOZOテクノロジーズで主な役割が異なっています。ZOZOにはZOZOTOWNを運営するために必要なブランド営業・マーケティング・カスタマーサポート・物流まわりなどのスタッフが在籍しています。

一方、ZOZOテクノロジーズにはシステム開発をするために必要なスタッフ、エンジニア・デザイナー・リサーチャーなどが在籍しています。2020年2月時点ではZOZOテクノロジーズには約400名の従業員が在籍し、そのうちエンジニアは約350名ほどを占めています。

マネジメント勉強会とは

そんなエンジニアの比率が高い会社の中で、マネジメント勉強会を立ち上げた経緯から説明します。

まず、ある法則を紹介します。米国の人事コンサルタント会社ロミンガー社の調査によると、ビジネスにおいて人は70%を仕事上の経験、20%を同僚からの助言やフィードバック、10%を研修などのトレーニングから学ぶと言われています。これは「7・2・1の法則」とも呼ばれ、企業研修などでもよく引用されています。

わたし自身、弊社に入社してから3年ほどSREチームのマネージャーとしてマネジメントをしてきてこの「7・2・1の法則」を実感してきました。仕事上の経験は当然積むのでそこからの学びはもっとも多く、マネジメント関連の書籍もたくさん読んで可能な限り自学してきました。ただ、それだけでは自分の成長速度に限界を感じていたのも事実でした。

そこで自分自身の成長速度を加速させるために上記法則の「同僚からの助言やフィードバック」を強化したいと考え、そのための仕組みを他のマネージャーたちと一緒に作りたいと思い立ちました。わたしが成長速度に物足りなさを感じていたのと同様に、弊社の他のマネージャーもそれぞれ悩みや、それに対する解決方法を持っていて、お互いに共有しあうことで成長したいと感じているのではと思ったからです。

また、マネジメント勉強会の立ち上げを検討し始めた2019年10月はZOZOグループが買収され前代表の前澤が退任した直後でした。強力なトップダウン型リーダーがいなくなったタイミングだったので、自分たちも変わらなければという意識が全社的に強まっていた時期でもあり、会社としてもマネージャー層のマネジメントスキル向上や横の情報共有を強化することが重要であるのではという考えもありました。

立ち上げまでの道のり

そのような考えからマネジメント勉強会の立ち上げを思い立ち、下記のようなステップで初回の開催を計画していきました。

  • 運営メンバーの勧誘
  • 経営層への企画提案
  • 勉強会の命名

運営メンバーの勧誘

まず、マネジメント勉強会を立ち上げるにあたって最初に考えたのが「1人で運営するべきではない」ということでした。複数人の運営メンバーを擁立することで下記のようなメリットがあります。

  • 運営にかかる工数を役割分担することで分散できる
  • 運営メンバーで相談しながら運営することで会のクオリティを向上できる
  • 開催の継続力が高まる

そこで以前から社内でマネジメントに関して関心が強かった荒井(@arara_jp)と鶴見(@_tsurumiii)に声をかけて、運営チームが確立されたことでマネジメント勉強会の立ち上げを決めました。

経営層への企画提案

次にマネジメント勉強会の立ち上げについて経営層に企画の共有をしました。

弊社はエンジニアが多い会社なので技術的な勉強会は社内で日常的に行われており、勉強会の開催自体はよくあることなので通常であれば経営層に許可を取る必要はありません。しかしマネジメント勉強会については組織横断型を想定しており、マネジメント層のスキル向上など経営課題にも関連する内容だったので企画について事前共有をしました。

結果、経営層からは応援するという前向きな意見をもらうと同時に、勉強会の中で出てきた「マネージャー層が感じている課題感や制度設計に関する要望」などについて教えてほしいという要望をもらい現在まで開催毎に経営層へのフィードバック会を実施しています。

勉強会の命名

この会は経営層から言われて業務命令で立ち上げたわけでもなく、人事が研修として公式な業務で行っているわけでもなく、一般のチームリーダーが自主的に必要性を感じて周囲に声をかけて始めた試みです。

そこでこの勉強会を立ち上げるに伴いもっとも意識したのは「ネーミングを間違えない」ということでした。具体的には「マネジメントのことを誰かに教えてやるという上から目線を感じない名前」にしようということです。これは設立理由にも記述したように、わたし自身が周りのマネージャー陣と一緒に「マネージャーとして成長していきたい」という想いから始まっているので運営メンバーは参加者を教育するような立場ではなく、あくまで参加者と同じ目線でいたいということです。ネーミングが上から目線になることで、多くのマネージャー陣の共感を得られず成果を挙げられないまますぐ終わるというようなことだけは避けたいと思っていました。

当初、勉強会の目的の1つにジョブマネジメントだけでなくピープルマネジメントの重要性を広めたいという気持ちもあったので「ピープルマネジメント研究会」みたいな案もありました。しかし、これだと一部の意識高い人だけが参加するというような印象を受けて参加ハードルが高いだろうと運営メンバーで話し合い、立ち上げ当初のネーミングとしては「新人マネージャー勉強会」に落ち着きました。

今の「マネジメント勉強会」とは異なる名前ですが、これは経験の浅いマネージャーも参加しやすいようにハードルを下げたいという意図がありました。また、運営メンバー陣もマネジメント歴がそれほど長いわけではないので「皆一緒なんですよ」というスタンスを強調したものでした。この名前は数回開催したあとに、逆に経験のあるマネージャーが参加しづらいのではという意見があり現在の「マネジメント勉強会」に変更しています。

1年間で実施したテーマ

マネジメント勉強会は現在に至るまでの約1年間をかけ、合計11回開催してきました。各回の参加人数はテーマによってまちまちですが10名程度から最大で50名程度となっています。累計では全管理職の約8割がいずれかの回に参加しています。

これまでに下記のテーマを選定し開催してきました。

  • 第1回 各チームで実施しているチームビルディング施策の共有
  • 第2回 書籍「1on1マネジメント」を読んだ上で内容について議論
  • 第3回 外部講師を招いての1on1勉強会
  • 第4回 評価についての悩みや疑問を共有する会
  • 第5回 他チームリーダーへの質問・相談会
  • 第6回 マネージャーのキャリアプランについて考える会
  • 第7回 外部講師を招いてのピープルマネジメント勉強会
  • 第8回 コロナ禍でのチームマネジメント方法の工夫を共有する会
  • 第9回 採用面接で質問している内容について意図と効果共有
  • 第10回 新人事制度についての質問、フィードバック会
  • 第11回 書籍「1on1ミーティング」を読んだ上での内容について議論

内容については各マネージャーが抱えている課題や悩みについて共有することで他のマネージャーから解決案のヒントを得るという形式や、会社の新制度導入タイミングに合わせた企画が多いです。また、全員で同じ書籍を読んで読書会のような方法をとったり、外部講師を呼んで講演会のような形式をとったりと参加メンバーが飽きないような工夫もしてきました。

いくつかテーマの紹介とそれぞれの効果を簡単に紹介します。

第1回 各チームで実施しているチームビルディング施策の共有

第1回では各チームで実施しているチームビルディング施策について紹介し合いました。たとえば下記のような施策が紹介されました。

  • 人生(モチベーション)グラフ
    過去のモチベーションが上がった出来事、下がった出来事を人生グラフにして開示しあうことでお互いのパーソナリティを知る。
  • チーム内ZOZOエール
    会社で採用しているUniposというピアボーナス制度を活用し、日頃の感謝やバリューを体現した行動を賞賛しあう時間を毎週の定例の中に作る。

なお、チーム内ZOZOエールについては、以下の記事で紹介しています。

techblog.zozo.com

他にもたくさんの施策がありましたが、他のチームがやって成功している事例を取り入れることができ有意義な内容となりました。コロナ禍になる前でしたが、当時からリモートワークが制度として導入されていたこともあり、人間関係を円滑にするための工夫をそれぞれのチームが実施していることが印象的でした。

第2回 書籍「1on1マネジメント」を読んだ上で内容について議論

第2回はピープルマネジメントについての書籍「1on1マネジメント」を参加者で事前に読んできて内容について当日議論するという内容でした。事前に課題図書を作ることで参加ハードルは上がってしまうのですが、共通の書籍を読んでくることで目線のすり合わせができた状態で1つのテーマについて話すことができとても好評でした。

この書籍を参加者全員が読むことでピープルマネジメントの大切さについてインストールされたマネージャーが増えたことは会社として価値のあったことだと思います。

第9回 採用面接で質問している内容について意図と効果共有

第9回では採用をテーマにして議論しました。面接の際にどのような質問をすると候補者の本音が引き出せやすいかなどの知見の共有です。また、応募者が現在の採用ページを見るとこの部分で迷うのではないかという意見や、こんな面接官トレーニングをしたらいいのではという要望も出てきたので後日、採用人事へフィードバックする会も実施しました。

この会でも参加したマネージャーから多くの意見や悩みが出てきて、今まで会社として拾い上げることができていなかった声を拾えた意義ある会となりました。

マネジメント勉強会を通じて分かってきたZOZOテクノロジーズの現状

このようにマネジメント勉強会を開催していく中で、会社の局所的な課題やマネージャーが持つ個々の悩みについては横の情報共有をすることで、ある程度は解消することができました。しかし、マネジメント勉強会だけでは解決が難しい下記のような3つの大きな課題もZOZOテクノロジーズにはあることが分かってきました。

1.組織の急拡大による弊害

ZOZOテクノロジーズはこの3年間で社員数が200人から450人に急増してきました。この急激な規模拡大の影響からZOZOグループ全体で目指している上位戦略が現場に伝わりづらくなってしまい、やりがいや達成感を感じづらくなっているという問題が起きているようでした。また、規模が大きくなることで隣の部署やチームが何をしているのかよく分からないという関心の希薄化も生まれていました。

2.現場のコンフリクト

ZOZOテクノロジーズはグループ内にあった7社が合併してできた会社であるため、さまざまな文化が混ざりあった状態です。それぞれの会社で大切にしていた価値観が時にぶつかり合うこともありました。また、文化が融合し、それまでのどの文化とも違う「新しいZOZOらしさ」が生まれましたが、その変化の速さに追いつけない社員も出てきました。

technote.zozo.com

3.マネジメントと人材育成

そして現場のマネージャー層がもっとも困っていたのは自身のマネジメントスキル向上についてでした。各々のチームの中で各リーダーがさまざまな工夫をしているものの、会社としてスキルや役割の標準化、マネージャー育成支援が十分にできているわけではなかったことからマネジメントスキルの属人化が進んでいました。また、現場の社員もキャリアパスや育成についての明確な指針がないことで不安を感じているという状態でした。

上記の3つの大きな課題はグループ会社が合併する前まではそれほど大きな問題にはなっていませんでした。それは会社の規模がまだ小さく、合併もしていない1つのみの会社だったので文化も単一、縦と横のつながりが強固で、やりがいと達成感を感じやすい環境だったからです。しかし、グループ会社が合併し、文化が混ざりあった状態で下図のような変化が起きてきました。

出典:1on1ミーティング「対話の質」が組織の強さを決める

この図では横軸が「上司・同僚との関わり具合」、縦軸が「ストレッチ経験の量」を表しています。どちらも高い状態だと「成長実感職場」となります。現在のZOZOテクノロジーズは上述のような歴史的背景から「上司・同僚の関わり具合」が徐々に薄れてきており、左上の「挑戦させすぎ職場」となっている可能性が高いです。

組織開発チームの立ち上げについて

このような3つの大きな組織課題と「上司・同僚の関わり具合」が減っていることによる「挑戦させすぎ職場」になっている状態を脱却するため、新たに「組織開発」をテーマにした新チームを立ち上げることにしました。組織開発に詳しい専門家を他社からリーダーとしてスカウトし、わたし自身もメンバーとしてこのチームに参加しています。組織開発チームでは具体的に上記課題を以下のように解決していくことを目指しています。

1.組織の急拡大による弊害への対応

上位戦略の伝達のしづらさについては2020年10月から開始された新評価制度により全社目標、部門目標、個人目標の連携を強めています。自分の仕事がどのように上位戦略に結びついているか実感しやすくなることを目的としています。また、その連携を強めるための手法として週1回30分の1on1を必須として全社導入を始めています。隣のチームが何をしているか分からないという問題については階層別研修やコミュニケーション施策を強めることで解消を目指します。

2.現場のコンフリクトへの対応

新しいZOZOらしさへの適応についても2020年10月に制定された新バリューの浸透施策により共通の価値観を醸成すると共に、同じ目標に向かっていけるよう目標管理制度を導入しています。また、個別の組織課題についても組織開発チームとして支援をします。

3.マネジメントと人材育成への対応

マネジメントスキルについても会社として役割の明文化、スキルの標準化を目指し各種研修、支援を開始します。また、現場社員についても等級定義やキャリアパスを明示的に提示し、キャリア関連施策を実施します。

今後の展望

マネジメント勉強会のリニューアル

これまでマネジメント勉強会は初期運営メンバーが、その都度必要だと思うテーマについて検討して実施してきました。今後は上述の会社全体の課題から逆算したゴール設定をし、戦略的に他の社内施策や勉強会とも連携調整しながら進めていく必要があると考えています。運営メンバーも追加募集を始めており、より会社に貢献するような会へと進化させていきます。

組織開発チームが目指す組織

発足した組織開発チームでは「創造性を解き放つ人と組織をつくる」をミッションとし、上記のような必要な施策や制度推進に取り組むことで、組織の課題解決をしていきたいと考えています。そしてグループのビジョンである「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」の実現を目指します。

最後に

まだまだたくさん課題のある会社ですが、スキル・マインド共に高い魅力的な社員が多く、組織課題をうまく解決していくことで飛躍するポテンシャルが非常に高い組織です。やるべき方向性は明確で進化の真っ最中です。

一緒にサービスを作り上げてくれる方はもちろん、さまざまな職種でZOZOテクノロジーズをいい組織にしてくれる方を募集中です。ご興味のある方は、以下のリンクからぜひご応募ください!

tech.zozo.com

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