エンジニア組織のマネージャーが実施した10個のチームビルディング施策をメンバーの満足度別に紹介!

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こんにちは!
開発部SREチームの指原(@sashihara_jp)です。

弊社にはSREチームが複数あり、私が所属しているチームは主にZOZOMATなどの計測システム、ZOZOERPと呼ばれる服の生産に関するシステムなど複数のプロダクトを担当しています。

本記事では私がSREチームのマネージャーとしてチーム内で行ってきた施策についてご紹介したいと思います。現在チーム内で行っている施策は全部で10個程度あるのですが、今回チーム内で事前に各施策について満足度アンケートをとりました。ここでは満足度の高かった施策とそうでなかった施策について、その理由と共に解説していきたいと思います。

前提

組織のマネージャーの役割はチームとしての生産性やパフォーマンスの最大化だと言われています。そのための手法として昨今1on1(ワンオンワン)と呼ばれる上司と部下の1対1での頻繁な対話が注目されていますが、私がチーム内で行っている施策もこの1on1を軸にして、そこからヒアリングしたメンバーが持つ不満や不安への対策、メンバーからのやってみたいという提案などから生まれたものが中心となっています。

それぞれの施策に関しても最初から今の形に落ち着いているわけではなく試行錯誤の最中でメンバーからのフィードバックを反映しながら変化しています。今後もチームの生産性、パフォーマンスを最大化するために積極的に改善を試みていきたいと思っており、今回紹介する施策はあくまで現時点のものであり、これがベストな最終形だとは思っていません。

また、ここでは偉そうなことを書いていますが、私自身、ベテランのマネージャーではなく、これから勉強していきたいと思っている発展途上の身ですので、温かい目で読んでいただければ幸いです。

それでは、実際に行っている施策について紹介していきたいと思います。

満足度が特に高かった施策

1on1

冒頭でも紹介しました1on1ですが、今回アンケートで5人のメンバー全員がやってよかった、今後も続けて欲しい項目として挙げてくれており、非常に満足度の高い施策です。私のチームでは以下のような形式で実施しています。

  • 1人30分、週に1回
  • 事前に双方から話したいことを1つ以上用意してくる
  • スプレッドシートに議事録を残して振り返るようにする

メンバーは5人いるので毎週必ず3時間近く1on1に使っていることになります。よく1on1について聞かれる質問として「普段から隣の席でコミュニケーションを取っているから必要ないのでは?」ということがあります。しかし、実感としてはどんなに普段からコミュニケーションを取っていたとしても、

  • 話す内容を考えることで自分やチームと向き合うことができる
  • フィードバックを細かい頻度で実施できる

という2つの大きなメリットがあるので、やるのとやらないのではチームや個人の成長速度が全く違うと感じています。
ただ実際、何を話すのかは最初、難しかったのも事実で、初期の頃は30分間雑談で終わってしまうことも多かったです。そこでお互いに事前にアジェンダを用意してくる形式に変更することで、しっかり向き合う時間になるよう工夫し、議事録も残して後で振り返ることができるようにしました。

内容として気をつけていることは

  • タスクの進捗確認は別の機会があるので極力しない
  • 単なる雑談だけの日があってもいい
  • 普段はあまり考えないようなキャリアプランを考える機会にする
  • プライベートも含めたメンタルヘルスについて確認する
  • うまくいったタスク、いかなかったタスクの原因を振り返ることで、経験学習を促進する
  • 仕事やチームへの不満、改善点を洗い出す

などを意識して議題を設定しています。
基本的には何でも話してOKで、ここでなにか問題が発見されたのであれば解決案を一緒に考えることもありますし、答えが出ない場合はチーム全員で案を出し合ったり、その結果、次の施策に繋がったりすることもあります。

好きなドラマや、欲しい生活家電のことを話すだけの日もありますし、お互いの人となりが分かったり、仲良くなったり信頼関係を強化するだけでも十分だとも思っています。

チーム目標設定

次に、これも非常にメンバーの満足度の高かった施策です。チームでは以下のような3つの目標を掲げています。

意義目標

会社が持つ「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」という企業理念を実現するために、自分たちが関わっている事業をなぜやるべきなのか、どのような未来を我々は作っていこうとしているのかという長期的な視点を忘れないようにしようという目標です。

成果目標

意義目標をブレークダウンして、事業として今期達成すべき具体的な成果、ゴールのイメージを成果目標としています。

行動目標

成果目標をさらにブレークダウンして、大枠でのタスクレベルにまで落とした目標を行動目標としています。実際に今期、成果目標を達成するために必要なタスクとしては何があるのかというレベル感です。

この3つの目標を立てるという考え方は「THE TEAM」という本を参考にして行っているのですが、この形式でなくてもいいと思っていて、大切なのはチームとしてのビジョンや目標を立てることだと思っています。

何事も先を見据えたゴール設定が適切にされていないと進む方向にブレが生じますし、目の前の仕事が必ずしも楽しいものだとは限らないのが常だと思いますので、自分の仕事が最終的に何につながっているのかということを示す指針がチームには必要だと思っています。

満足度が高かった施策

テックリードサポートタイム

弊社ではチームのマネージャーとは別にテックリードという役職が存在します。その名の通り技術でチームや会社を引っ張ることがミッションの役職で、チームメンバーに対して技術的なレビューだったりサポートをすることが求められます。

ただ、どこの会社やチームでもそうだと思いますが、技術的に優れている人ほど仕事が集まりやすく、常に忙しいという状況で、チームメンバーの中でも特に新人に近いメンバーはもっとレビューやフォローをしてほしいけど、テックリードがいつも忙しそうだから話しかけづらいというような課題がありました。

そこでまず、タスクの分配自体でテックリードの手をできるだけ空けられるように調整を行いました。次に、テックリードにはスケジュール上、帯で1日1時間の枠を確保してもらい、その時間はメンバーがテックリードに質問するだけの専用の時間にしてもらいました。

この施策はテックリードの光野さんという方にご協力いただいて「みつのアワー」という親しみを込めた名前で実施しています。「みつのアワー」を始めて半年以上が経ちますが、毎日ほぼ必ず利用されておりメンバーからも好評です。1on1もそうですが、その施策がないときに「いつでも話しかけていいよ」と言っても実際話しかけづらかったりするものですので、あえてそのための時間を設定するということが効果的なんだなという学びになっています。

チーム内ZOZOエール

弊社ではwevoxという組織のエンゲージメントをスコア化するツールを導入しているのですが、そのwevoxの結果で私たちのチームには「成果に対する承認の機会」が少ないということが分かりました。
振り返ってみるとたしかに、タスクが無事完了したことを祝ったり、仕事での良い動きや姿勢を褒めるというような機会は作っていなかったなと気付きました。そこで最近始めたのがチーム内ZOZOエールという仕組みです。

ZOZOエールというのは社内のピアボーナス制度で、日頃のありがとうや会社の理念やミッションを表現した行動、会社への貢献、感動したことに対してUniposというツールを使って少額の報酬を与え合うことができるものです。ZOZOエールは社内のありがとうを可視化しようという試みで非常に良い仕組みだと思うのですが、私たちのチームではこちらも使っている人が少なく、活用できているとは言い難い状況でした。

そこでこのZOZOエールを活用し毎週金曜日の朝会の中で、この1週間チームの中で頑張っていた人、成果を出していた人、他の人の見本になるようないい行動や姿勢を見せていた人を褒め合おうというタイムを設定しました。

この褒める内容については仕事に限らなくてよくて、例えばウォーターサーバーの水を率先して替えてくれていましたとか、飲み会の幹事を率先してやってくれてありがとうとか、普段あまり褒められることがないようなポイントについても誰かが見つけて取りこぼさずにピックアップできるという良い仕組みになっているかなと思っています。

もちろん、大きなタスクを達成した時や、技術的に分からないことを教えてくれたなど、普通の仕事上での「おめでとう」や「ありがとう」についても投票されるので、ポジティブなフィードバックの文化が加速できていると思います。

中長期タスク設定

私たちのチームでは複数のプロダクトを担当しており、基本的には各プロダクトからの依頼をさばくというような仕事のスタイルだったのですが、案件のレベル感的に半年や1年かけて完成させるというよりは1週間以内で終わる小粒のタスクばっかりだよねという状況がありました。

また、仕事のタイプは「緊急度の高い低い」「重要度の高い低い」で分類できると思いますが、チームとしてやっている仕事は「緊急度が高くて重要度も高い仕事」か「緊急度が高くて重要度は低い仕事」に偏っていました。しかし「緊急度は高くないけれど重要度は高い仕事」の中にこそ、本当はやるべき価値の高いことが眠っていたりします。

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そこで、そのような「緊急度は高くないけれど重要度は高い仕事」に中長期的に取り組む時間を作ることで、会社やプロダクトへの貢献だったりスキル面での向上を目指そうという中長期タスクを作ることにしました。現在は各プロダクトの案件以外のタスクとして全員が中長期タスクを持って取り組んでいます。

例えば弊社では50個近いAWSアカウントを管理していますが、それぞれのアカウントへのログインをシングルサインオンで管理することによって、利便性とセキュリティ面での向上を目指すことを中長期タスクの1つとして設定しています。

また、これらの中長期タスクについては、基本的にはプロダクトのタスク優先になってしまうので、半年後に振り返って何もしていませんでした、というようなありがちなことがないように毎週「中長期タスクサポート会」を実施しています。「中長期タスクサポート会」とは

  • 進捗報告(なければないでも良い)
  • 技術的だったりタスク調整的に困っていることがないか

を毎週確認することで、タスクのフォローと締切効果を狙っていて、今のところ効果的に働いています。

KPT

2週間に1回必ず2時間かけてKPTを行っています。
KPTは前回から今回までの間で

  • Keep(できたこと、良かったこと)
  • Problem(できなかったこと、良くなかったこと)
  • Try(次回までにやりたいこと)

という3つをそれぞれ会議中に、3分ずつ考える時間を作って発表しあうというスタイルでやっています。

チームとしての課題を見つけたいという意味もあるのですが、いまはどちらかというと個人レベルでの成長への宣言(英語の勉強を始める、資格勉強を引き続き頑張る、システム構築を完了させる)が多いという印象です。

KPTもいろんなスタイルがあると思いますが、目標はたてるだけじゃ意味がなくて定期的に振り返るということが必要だと思いますので、定期開催し続けたいと思っています。

LT、技術記事執筆

もともと、私たちのチームは技術的なアウトプットの習慣がないメンバーが多いという現状がありました。技術ブログだったり、Qiitaで記事を書く、LTで発表するといったアウトプットは実際なかなか労力も必要なので敬遠されがちです。

しかし弊社では業界のリーディングカンパニーの1つとして技術のエコサイクルに貢献していくという目標を掲げています。また、文章を書いたり発表したりという準備をすること自体、本人の成長につながる行為でもありますので、積極的にアウトプットを推奨しています。

とは言え、いままでそういうことをあまりやったことない人がいきなり会社の代表として技術ブログや登壇資料を作ることができるかというと、最初はやはりハードルが高いため、私たちのチームでは週に1回ずつ技術に関する内容で、LT発表とブログ等で技術記事を書いてチーム内で共有するということを朝会で実施しており、担当は持ち回り制としています。

慣れてないメンバーにとっては負担もあり辛いとは思うのですが、メンバーのコンフォートゾーンな施策ばかりやっていても本人の成長に繋がりません。チームマネジメントの観点では、多少辛くてもやれば成長できるやるべきことは半強制的にでもやってもらう方がいいと考えており、施策として取り入れています。

輪読会

毎朝1時間、朝会をやっておりそのコンテンツとして30分を使って輪読会を実施しています。輪読会ではメンバーが読みたい本を募集して全員で同じ本を(会社の書籍購入補助で)購入し、毎日決まったページ数(5〜10ページ)を一緒に読んでいます。

読んでいる中で、気になったフレーズだったり、読解が難しかったところ、面白いと思ったところを議事録ページに記載しあって時間がきたらそれらについて全員で議論しています。

技術的アウトプットについてもそうですが、興味のある技術書があったとしても個人で時間をとって読み進めるのはなかなか大変だったりするので、強制的に時間を作ることで読み進めることができます。また、1人で読むより全員で内容について議論しながら読み進めていくことで、理解が深まるので学習効果を高めることができていると実感しています。

満足度があまり高くなかった施策

スキルマップ策定

新しいメンバーが増えたタイミングで、メンバーがスキル的に何ができて、何を経験したことがなく、何を今後身につけていきたいと思っていくのかという点について知りたいと思いスキルマップを作成しました。

スキルマップは例えばAWSのサービスなどを並べていて、それに対する経験と今後の興味についてマルバツで入力していくような形式です。
これに関してはある程度傾向を知ることができたものの、1回しか実施しておらず、ここから次のステップのタスク割当の参考等にあまり活用できていなくて、チームとしても効果的に使えなかったと思う施策でした。

もっと活用するためにPDCAを回してやり方を工夫していけば満足度が上がる余地はあると思います。

もくもく会

勉強会の一種でもくもく会というものがあります。自分の好きなテーマ、興味のあるテーマを持ち寄って一定の時間の中でインプット・アウトプットするというものです。

もくもく会は参加自由として1年程継続して行ってきたのですが、業務と関係のない仕事を業務時間を使ってやるということは、特に忙しいときほどストレスに感じるのも事実で、テーマ設定の難易度も高く最終的にあまり定着させることができませんでした。

Googleさんの20パーセントルールなどありますが、業務時間を使って業務と関係ないことをするというのは、なかなか高い自己マネジメント能力が必要だなという印象でした。

まとめ

以上のように全部で10個の私たちのチームで試してみたチームビルディングに関する施策を紹介してみました。

満足度と運用コストについてグラフにプロットしてみると以下のようになります。自チームに取り入れる際の参考にしていただければと思います。 f:id:sashiharajp:20191223101316p:plain

いろいろ試行錯誤している最中ですが、やってみて思うのは、まずは取り組んでみることが大事だということです。多くの場合で何かしらポジティブな変化が起きますし、変化がなければ止めたり、工夫を加えて再チャレンジすればよいだけです。

マネージャーとして大切なことは何をしていけばチームメンバーが楽しく働けて、成長することができて、ひいてはプロダクト・会社の成長に貢献できるかを考え続け行動し続けることだと思います。

マネージャーがメンバーの延長でメンバーと同じようなことをし続けるのは楽で簡単なことですが、それではマネージャーとして何もしていないことと同義だと思うので、自分の役割を強く意識して行動に移していかないといけないと思っています。

最後にZOZOテクノロジーズではより良いチームを作っていくマネージャーを各職種で大募集中です。ご興味のある方は、以下のリンクからぜひご応募ください。

tech.zozo.com

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