アウトプットを支援する3つの取り組みと社内勉強会

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こんにちは。ZOZOテクノロジーズZOZOTOWN部 検索チーム 兼 ECプラットフォーム部 検索基盤チームの有村です。

ZOZOTOWNでは社内勉強会が盛んに行われており、部単位・役職単位・チーム単位・有志の集まりなど様々な単位、様々なテーマで日々開催されています。本記事では今年度上期を通して行ったZOZOTOWN部バックエンドの勉強会を振り返り、より参加者のモチベーションをあげるために設定した目標値や達成のために行ったことについて紹介致します。

この記事はZOZOテクノロジーズ Advent Calender 2020 #2の1日目の記事です。

ZOZOTOWN部バックエンド勉強会の歴史

現在ZOZOTOWN部バックエンドで主催している勉強会は2018年度から開催され始めたもので、今年度で3年目の会となります。その会では、これまでは各チームで所有しているノウハウを共有するためのLT大会や、そのノウハウを社内で留めずアウトプットを行うため、記事の投稿を行っていました。アウトプットに関しては、特にテーマに決まりは無く、業務で取り組んだ案件から学んだことや前職での経験、個人的に勉強していることなど思い思いのテーマで行っています。

本勉強会では、現在以下の3点の理由から執筆した記事のアウトプット先としてQiitaを利用しています。

  • アカウント開設・Organizationへの紐づけが容易である
  • テックブログに比べて、幅広い内容でライトに投稿できる
  • 記事へのフィードバックがLGTM、コメントといった形でもらえるため、モチベーションにつながる

3年目である今年度もアウトプットを文化として根付かせ、さらに強化していくためにQiitaへの投稿を継続しています。 qiita.com

コロナ禍での勉強会運営

本記事で紹介した勉強会ですが、開催年月を重ねるごとに参加者が増え、現在ではZOZOTOWN部バックエンドの5チーム計30人以上が参加する規模の勉強会となりました。勉強会自体も昨年度までは全てオフラインで開催されていましたが、昨今のコロナ事情により弊社では原則的に在宅勤務となっており、オンラインでの開催が必須な状況となりました。

弊社ではオンラインのミーティングツールとして、主にGoogle MeetとWebex Teamsを利用しています。両方のツールに一長一短ありましたが、ディスカッションを行うにあたりグループ単位での作業が発生することから、チームの下にグループの概念を持つことができるWebex Teamsを採用しました。

Google Meet Webex Teams
インストール 不要 必要
体感パフォーマンス
ディスカッションに特化した機能(ブレイクアウトルーム) × △(2020年夏のアップデートで登場、チームとスペースで代用可)
社内での利用浸透率(4月時点)

アウトプットを強化するための取り組み

上述した通り、今年度の取り組みは昨年度から継続してアウトプット強化を目的としていますが、実際に書くだけでなくそれをサポートするようなステップを設けています。

昨年度から行ってきた具体的な取り組みとして、全員で記事にする内容の発案・深堀をするネタ出し会、公開前に内部で限定公開状態で意見をしあうレビュー会があります。

今年度からは上記に加えて、新たにスパイ会という取り組みを開始した上で、より求められる記事を書くには何が重要なのかを調査しました。参加人数が多いため、5〜6人毎のグループを作成し、基本的にディスカッションはその単位で行っています。

スパイ会

アウトプットをする上でのモチベーションの拠り所は個人差があると思いますが、公開したものに対する反響が気になるという点は多くの方に共通しているかと思います。今年度の勉強会ではこの反響を数値で観測し、反響の数字が大きい記事 = 求められている記事と仮定した上で、いかにしてその数値を伸ばしていくかを調査(スパイ)しました。

調査する上でやはり参考になるのは既に公開された上で反響のあった記事達です。今回利用したQiita上ではLGTMがわかりやすく反響の指標として採用できそうであったため、この数字が大きい記事や小さい記事にはそれぞれどのような共通点があるかディスカッションを行いました。

また、Organizationに紐づくアカウントより公開された記事は一定の質が担保されているであろう、という仮定のもと調査対象を限定しました。

各グループで調査を進めた後は、以下のような形式でまとめ共有を行いました。

スパイ会

調査結果

調査の結果、LGTMが多くついている記事の多くには共通点があり、またその逆に少ない記事の多くにも共通点がありました。

LGTMが多い記事の共通点

  • タイトルがキャッチーである
  • 見出しが適切に設定してあり、知りたい情報に手早くアクセスできる
  • 実行に必要なコマンドやスクリーンショットが添付してあり、再現性が高い
  • 新鮮なネタへのキャッチアップが早い

LGTMが少ない記事の共通点

  • 記事の意図が組み切れないほどの短いメモ書きである
  • タイトルと内容のミスマッチ、タイトルから内容が推測できない
  • 適切なチャプター分けがされておらず、冗長である
  • ボリュームが極端に多すぎる

書き出してみると当たり前に思えることが大半ですが、LGTMが少ない記事の共通点には、いざ自分で書こうとする際にもおろそかになりがちな点や、やりがちな点が多く挙がっている様子が見て取れます。

一方、LGTMが多い記事の共通点の多くは、どんな内容の記事でも意識することで改善可能な点が大半となっており、読者を想定して記事を書くことの重要性を改めて確認できました。

ネタ出し会

ネタ出し会の大まかな流れは以下の通りです。

  1. アウトプットしてみたいお題を、これまで経験したことや気になっている技術などから数個引き出してみる
  2. グループ内で気になるお題を掘り下げ、1つにお題を絞る
  3. お題について深堀し、概要レベルまで落とし込む

勉強会の参加者は先述した通り30名ほどで、その中でもアウトプットの経験に関してメンバー間でばらつきがあるため、そのばらつきを吸収・サポートする意味で1.の手順を踏んでいます。

また、上記のスパイ会で得た知見を基に、お互いのアウトプットをどのようにしてブラッシュアップするかについても議論するため3.の場を設けました。

レビュー会

上記のネタ出し会が終わった後、各々執筆した記事を持ち寄りレビュー会を行います。とはいえ全員が全員の記事をレビューするのは現実的でないため、執筆者1人に対して1人レビュアーをアサインし、レビュー会の前に事前確認を行います。

全体で行うレビュー会では書いた記事をもとに執筆者が発表を行い、その内容に対してレビュアーが中心となって質問やコメントを行います。Organizationに紐づく記事を公開することになるため、このレビュー会を通して誤った情報の発信を未然に防ぐ役割も担っています。

このレビュー会が終了した後に、各執筆者は記事を公開します。

半期勉強会を運営行った結果

上述した施策を交えつつ、バックエンドメンバー全員の記事公開が無事完了しましたので、昨年度行われていた勉強会との比較を行いました。

昨年度 今年度
記事本数 21 26
平均LGTM数 16.96 40.67

記事本数が増えたことに関しては単純に参加メンバーが年々増加していることもありますが、LGTM数の推移からより求められる記事を公開できている事がわかります。また、それを示すように毎週トレンドに掲載され、社内Slackでも話題となっていました。 slackの様子

勉強会終了後のアンケート結果

半期に渡る勉強会の終了後にとったアンケート結果の一部を紹介します。

Q. アウトプットに対するハードルは下がりましたか?

ハードルは下がったか

Q. 取り組みの中で最も役に立ったと感じたパートはどれですか?

満足した内容

Q. 今回の勉強会を通して新たに得た知見は何ですか?

  • 外部への情報公開って大事だなと改めて感じました
  • タイトルが曖昧だったり、自分の備忘録的なものは伸びにくい
  • タイトルや目次をわかりやすくすることの大事さ

Q. 次回以降に改善してほしい点は何ですか?

  • 執筆後、記事の反応を見て「これはやってよかった」「また反応が微妙だった」などを共有して残す作業があっても良かった
  • スパイ会が記事の深堀りから議論まで20分で行ったが時間が足りなかった
  • マネジメント系の記事を書きたい人はQiitaではなくnoteとかでもありだと思った
  • 大人数だと発言しづらそう

アンケート結果から、オンラインかつ大人数の勉強会ならではの課題点や、メンバーのアウトプットしたい内容がガイドラインによって制限されるケースなどが見えてきました。一方、今回から新たに行った取り組みであるスパイ会や、技術的なアウトプットを行うことについてはかなり前向きな意見が多かったです。実際に、普段の開発において新たな知見を得た際、自然とアウトプットに持っていこうとする会話を見かけることが増えました。

以前、弊社CTOの今村が公開した記事にもある通り、アウトプットには会社・個人双方に様々なメリットをもたらします。まだまだ発展途上な勉強会ですが、これからもメンバーのアウトプットを最大化できるよう、より改善を加えながら引き続き開催していきます。 techblog.zozo.com

最後に

本記事ではZOZOTOWN部で行われている勉強会の事例と、その中で行われている取り組みについて紹介しました。

最後に、ZOZOテクノロジーズでは本取り組みを行っているZOZOTOWNのバックエンドエンジニア含め、様々な職種で募集を行っています。ご興味のある方は、以下のリンクからぜひご応募ください!

tech.zozo.com

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