Figmaコンポーネントとガイドラインで実現するLP制作基盤の標準化

Figmaコンポーネントとガイドラインで実現するLP制作基盤の標準化

はじめに

こんにちは、ZOZOTOWN企画開発部 企画フロントエンド1ブロックの片岡優斗です。ZOZOTOWNでは、セール訴求や新作アイテム訴求、未出店ブランドの期間限定ポップアップ、著名人とのコラボなどの企画イベントが日々展開されています。その集客や回遊の起点となるランディングページを「企画LP」と呼んでおり、私はこの企画LPを主に実装するチームに在籍しています。

本記事では、LP制作における属人的なデザイン管理の課題解決に向けて「LP向けデザインガイドライン」を構築した取り組みをご紹介します。

目次

背景と課題

企画LP制作では速く作ることだけではなく、「案件ごとの表現を最大化すること」が求められています。

一方で制作を支えるデザインに関する仕様や参照基準は十分に体系化されていませんでした。施策の種別ごとに担当者をある程度固定する体制を取っていたこともあり、それぞれの経験やナレッジをもとに制作を進める状態が続いていました。

これは月10〜20本という高頻度のリリースを支えるためにスピードを優先してきた結果でもあります。しかし約30名(2026年3月時点)のデザイナーが関わる体制へと成長する中で、この暗黙知に依存した運用では徐々に限界が見え始めていました。

施策数の増加や案件内容の多様化に伴い、従来担当していなかった種類の施策を担当するケースが増え、参照すべき基準や過去事例が見えづらくなってきました。その結果、同じ役割を持つUI要素であっても担当や案件ごとに微細な差分が生じるようになり、それらが積み重なることで開発側の調整コストが増大していきました。

組織規模と施策量の拡大によって従来の運用モデルでは対応しきれなくなったことで、本来注力すべき施策の世界観設計や企画ごとの表現づくりに十分な時間を割くことが難しくなっていました。

プロジェクトの進め方

この課題を解決するために立ち上げたのがデザインガイドラインプロジェクトです。当初はデザインルールを整備することをゴールとしていました。リモート勤務が中心になって以降、職種間のコミュニケーション量も減っていました。そこで各デザイナーチームから担当者を1人選出して定例MTGや専用Slackで連携を取りながら継続的に議論できる体制を整えました。

プロジェクトの始動と進行の中で見えてきた課題

当初はエンジニア側がLPでよく使うコンポーネントをリストアップしてデザイナー側に共有し、デザイナー側がその内容をもとにガイドラインを作成する方針で進めていました。しかし実際に進めてみるとガイドライン作成は想像以上に停滞しました。

進行が停滞した背景には、ガイドライン整備という作業の性質と企画デザイナーの業務特性との間に構造的な問題があったと考えています。

ガイドライン整備は要素の網羅的な洗い出し、揺れの排除、再利用可能な形への収束が必要な作業です。さらに内容の正確さだけではなく公開可能なドキュメントとしての見た目の整合性や網羅性も求められるため、1つのコンポーネントを整えるだけでも想定以上の時間がかかります。

一方で企画デザイナーの日常業務は、案件ごとの世界観や表現を設計する発散型の思考が中心です。この性質の違いから、通常業務と並行してガイドラインをゼロから整備することは構造的にも負荷の高い進め方でした。デザイナーの業務は案件の波に影響されやすく、繁忙期には計画通りに工数を確保することが難しいという企画LP組織の特性もありました。

進め方の改善

こうした構造的な課題を踏まえ、ガイドライン整備という作業の性質に着目して進め方を改善しました。要素の網羅的な洗い出しや仕様の収束といった作業は、実装構造やコンポーネント設計を把握しているエンジニアの視点と相性が良いと判断しました。

そこでエンジニアがコードベースから過去の仕様やユースケースを確認して叩き台を作成し、デザイナーがその内容を精査・調整してガイドラインを発展させていく作業を担う体制へと切り替えました。この体制によりデザイナーは「ゼロから整える作業」ではなく「品質を高める判断」に集中でき、収束型の意思決定が加速しました。結果として進行は大きく改善し役割分担も明確になりました。

またこの進め方に切り替えたことで、エンジニアが普段の開発業務で扱っているコンポーネントや変数に近い概念をFigma上でも扱いやすくなり、コンポーネントやバリアブルなどの機能活用も進みました。その結果ガイドラインは単なるデザインルール集にとどまらず、デザインシステムに近い形へと発展していきました。

ガイドラインの設計

ここからは、実際のガイドライン構成をご紹介します。

ファイル構成

本デザインガイドラインでは、デザイナーが管理しやすいように、ガイドラインとコンポーネントセットを同じFigmaファイル内で管理しています。そのためFigma内の情報量が多く、今後もコンポーネントが継続的に増えていく可能性も高いことから、拡張性を考慮してコンポーネント単位でページを分けて作成しています。またファイル名は「デザイン名 / 実装名」で統一し、デザイナー・エンジニアどちらの視点からも目的の項目にたどり着きやすくしています。

ガイドラインのディレクトリ構成

また運用マニュアルとして「デザインガイドライン運用マニュアル」と「LP運用マニュアル」を用意し、ガイドラインの利用ルールやLP制作時のFigma活用方法を明文化しました。

ガイドライン構成

ガイドラインは「コンポーネントの利用方法を伝える」ことを意識した構成になっています。コンポーネント名・構造・変更可能な要素・スタイル・デザインパターンをひとまとまりで参照できるようにしています。

  • コンポーネント名
  • 基本構造
  • 構造詳細(デザイン変更可能な要素)
  • スタイル
  • デザインパターン

ガイドライン構成

変更可能な要素

企画LPは施策ごとにトーンや世界観が大きく変わるため、表現の自由度を残す必要がありました。一方で1つのコンポーネントの中でも自由に変更可能な箇所やデザインパターンが多数存在するため、FigmaのComponent propertiesだけでは十分に制御しきれませんでした。そのためパターンとして定義できるものはComponent propertiesで管理し、それ以外の自由に変更できる部分についてはガイドライン上で変更可能な要素を明示する形にしました。

コンポーネントの基本構造と変更可能な要素の定義

コンポーネント利用箇所から変更可能な要素を確認できるプラグインを作成

ガイドライン上で明示するだけではコンポーネントを使うたびにガイドラインを都度見に行く手間がありました。そこでコンポーネントの利用箇所からでも変更可能な要素を確認できるように専用のプラグインも作成しました。

変更可能な要素は画面上で点線のレイヤーを付けて視覚的に示し、右側のアノテーションでも項目を明示してどこが調整可能かひと目で把握できるようにしています。

プラグインによる変更可能な要素の確認画面

コンポーネント

各コンポーネントのページには、デザインガイドラインとFigmaコンポーネントを1つのファイル内にまとめています。左側にはコンポーネントの基本構造やSP(スマートフォン)/PCごとのスタイル、基本的な種類といったガイドラインを記載し、右側にはFigmaコンポーネントを配置しています。これにより、デザイナーはガイドラインを確認しながらそのままコンポーネントを利用でき、仕様の確認と実作業を同じファイル内で完結できる構成としました。

コンポーネント構成

ガイドライン整備の結果、利用を開始した2025年7月下旬以降のコンポーネント利用数は継続的に増加していきました。制作現場でもコンポーネント利用が徐々に定着してきており、ガイドラインを整備するだけでなく実際に使いやすい構成や運用にまで落とし込めたことがこの定着につながったと捉えています。

コンポーネント利用数の推移

まとめ

本記事では、ZOZOTOWNのLP制作における属人的なデザイン管理の課題に対し「LP向けデザインガイドライン」を構築した取り組みをご紹介しました。

デザインガイドラインを作成することで開発側のコンポーネントとデザインの差分が抑えられ、企画LP開発時の出戻り削減につながりました。

またエンジニアが叩き台を作りデザイナーが精査・発展させるという進め方は、業務特性に合わせた協業モデルの再設計でもあり、暗黙知を言語化しチームで活用できる知識に変えるための知見も得られました。

企画LPのように表現の多様性が求められる領域でも「固定する要素」と「自由に変更できる要素」を明確に区分することで、効率化と表現の最大化を両立しやすい形にできました。この結果、制作の起点が「それぞれの経験やナレッジで作る」から「既存のコンポーネントを活用して表現を作り込む」へと移行できました。デザインガイドライン作成を通して個人最適ではなく組織全体として効率的に制作を進められる土台ができたと考えています。

さいごに

今回の取り組みを通して、企画LP向けのデザインガイドラインを整備できました。一方でガイドラインは作成して終わりではなく、実際の制作現場で継続的に活用され改善されていく状態を作ることが重要だと思います。今後は継続的に改善できる仕組みづくり、さらなるガイドラインの浸透、Figma Makeなどを活用した拡張を進め、制作現場の運用基盤としてさらに発展させていくことが目標です。

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