
こんにちは、技術戦略部のwirohaです。2025年11月20日、21日に「アーキテクチャConference 2025」が開催されました。ZOZOはGoldスポンサーとして協賛し、スポンサーブースを出展しました。

本記事ではZOZOから登壇したセッションの紹介と、協賛各社やZOZOの協賛ブースの様子をまとめてお伝えします!
セッションレポート
巨大モノリスのリプレイス──機能整理とハイブリッドアーキテクチャで挑んだ再構築戦略
矢部による発表

アーキテクチャConference2025ではZOZOで取り組んでいるVBScriptで書かれた20年物の基幹システムのリプレイスについて、杉山との共同発表という形で発表しました。インフラ構成やアーキテクチャ実装の詳細は杉山パートに集約し、私はマネージャー視点での組織マネジメントや機能整理の進め方をメインにお話ししました。
今回の発表では、成功事例だけでなく、かなり赤裸々な話をさせていただきました。「設計文化がなかった」「等価リプレイスを選んだのに、結局『手順の書き換え』になってしまった」「売上貢献度の不明な機能が大量にあった」など、正直あまり表に出したくないような失敗談も包み隠さず話しました。これは、リプレイスプロジェクトの理想と現実のギャップ、そして組織への理解醸成がいかに重要かという点を伝えたかったからです。
発表後のAsk The Speakerには、予想以上に多くの方が来てくださいました。特に印象的だったのは、「うちも同じような状況です」「まさに今、その罠にはまっています」という声が多かったことです。レガシーシステムのリプレイスに悩んでいる方、マイクロサービス化を進めたいけれど現実的な壁にぶつかっている方など、同じ課題を抱えたエンジニアの方々と直接お話しできました。
技術的な相談だけでなく、「組織をどう説得したか」「機能整理をどう進めたか」といった、泥臭い部分への質問も多くいただきました。同じ悩みを持つ方々と直接繋がれたことが、今回の登壇で得た一番の収穫でした。
杉山による発表

今回のカンファレンスでは、ZOZOの基幹システムリプレイスにおける背景や現状の課題、その解決に向けたアーキテクチャ選定の考え方、そして実際のアーキテクチャ事例について紹介しました。段階的移行を可能にするストラングラーパターンや発送領域でのイベント駆動設計、アーキテクチャ選定の意図などについて詳しく説明しました。
聴講者はジュニアからシニアまで幅広い層で、アーキテクチャ図を用いた説明の際には大きくうなずきながら聞いている方も多く見られました。チームメンバーからも「近くの参加者が強く共感していた」とのフィードバックがあり、内容に対する理解や納得感を得られたと感じています。セッション後のAsk The Speakerでは、アーキテクチャの詳細を確認しに来られる方や、自社システムと比較しながら質問される方も多く、技術選定や移行戦略への関心の高さが伺えました。質問は特にストラングラーパターンやイベント駆動の設計に関するものが多く、技術的にも興味を持っていただけた手応えがありました。
今回の登壇を通じて、ZOZOが基幹システムリプレイスにおいて、イベント駆動やドメイン分割といったモダンなアーキテクチャ選定や段階的移行戦略を実践している点をポジティブに発信できたと感じています。参加者からの質問や反応からも、当社の取り組みが他社にとっても関心の高いテーマであることが確認でき、有意義なセッションとなりました。
また、社外発信としての効果に加え、説明構成や伝え方の工夫など、今後の登壇機会に向けた学びも得られました。技術的・コミュニケーション的な観点の双方で、非常に充実した機会となりました。
各社ブースレポート
基幹システム本部リプレイス推進部の岡本です。アーキテクチャカンファレンスに1日目のみ参加しました。セッションを拝聴する機会はありませんでしたが、他社ブースを回って色々な話を聞くことができました。私からは、個人的に印象に残ったブースをいくつか紹介いたします。アーキテクチャ以外の内容も多くなりますが、ご容赦ください。
株式会社ジェイテックジャパン様
以前から個人的に関心を寄せていたイベントソーシングのフレームワーク「Sekiban」の開発者である高丘様に、直接お話を伺うことができました。
イベントソーシングを用いたサービスを継続運用する際のリアルな難しさや、その課題解決にも繋がるアプローチの1つである動的一貫性境界(Dynamic Consistency Boundary)について詳しく教えていただき、大変有意義な時間となりました。

ノベルティとしていただいたタンブラーも素敵で、早速愛用しています。
株式会社アンチパターン様
SaaSの開発・運用・販売を支援する「SaaSus Platform」について興味深くお話を伺いました。
特に「導入企業には競争優位性を生み出すコア機能の開発に集中してほしい」というプロダクトの想いに強く共感しました。これは私が日々取り組んでいるシステムリプレイスにおいても常に意識しているポイントです。
また、AWSアカウント活用戦略など技術的な学びも多く、今後マルチテナント設計が求められる場面でも活かしていきたいと考えています。
株式会社ログラス様
普段からログラス様の社員の方々によるドメイン駆動設計や関数型プログラミングに関する発信を拝見していたため、直接それをお伝えできたのは貴重な機会でした。
また、新卒1期生採用の開始についての発信も印象に残っており、その背景にある想いを伺うことができたのも良かった点です。

ノベルティとしていただいた技術同人誌もクオリティが高く、ぜひ弊社でも参考にしたい取り組みだと感じました。内容も個人的に興味のあるテーマが多く、楽しく読み進めています。
ZOZO展示レポート
wirohaです。今回はブース展示に加えて、アーキテクチャConference連動企画で投稿したポスターを展示していただきました。

ブースでは、セッションで発表した基幹システムのほか、カート決済基盤、ショップ直送基盤、検索基盤のアーキテクチャをご紹介しました。じっくりと読み込む方や質問してくださる方が多く、深い交流ができました。CTOの瀬尾もブースに立っており、長期的な方向性や意思決定の経緯についてもお話しできました。


ノベルティとして、スニーカー等のソールの汚れをこすって落とせる消しゴムや、遊び心あるギミック付きのボールペンなどを配布しました。どちらも大変好評で、ZOZOを知っていただく良い機会になりました。

ポスターの方は、Fulfillment by ZOZOと実店舗在庫確認・取り置きサービスのアーキテクチャを展示しました。

各企業のアーキテクチャが並び、サービスの特性による差異を考えながら見るのが楽しいスペースになっていました。こちらも多くの方が行き交い、読んでくださっていました。
おわりに

今回はじめて協賛して参加者のみなさまとお話しし、アーキテクチャへの関心の高さや熱量を感じました。普段はなかなか見られない各社のアーキテクチャを見てディスカッションできるのは、大変貴重な機会でした。みなさま、ありがとうございました!
ZOZOでは、セッションでお話しした基幹業務のエンジニアや、その他の分野でもエンジニアを募集しています。ご興味のある方は、以下のリンクからぜひご応募ください。