こんにちは! 6月11日から13日にかけて開催された「CES Asia 2019」に弊社から3名(白木、中村、新井)が参加しました。本記事ではキーノートやトークセッションの内容、印象的だった展示をご紹介します。
CES Asiaとは?
米国で開催されるテクノロジーショー「CES(Consumer Electronics Show)」のアジア版として、2015年から開催され今回で5回目となります。自動運転を中心とする自動車技術や5G、AI、AR/VR、スタートアップなどのテーマに開催され、会場は上海市にあるShanghai New International Expo Centre(上海新国際博覧中心)で6つのホールを使用して、展示やキーノートスピーチやトークセッションなどイベントが行われました。
“Into the Data Age”
初日のイベントセッション「Trends to Watch」は、“Into the Data Age”という言葉からはじまりました。この10年はコネクティビティをキーワードに技術が発展してきたが、これからはすべてのデータがつながっていく時代だという言葉が印象的でした。
4回目の革命
“蒸気"を使った産業革命に始まり、“電気”の誕生、“IT”革命と続き、今は5GやAIをはじめとした“スマートテクノロジー”が新しい革命を起こしている。新しい体験や生活向上といったものがもうSF映画の話ではなく、現実世界で始まっている。スマートテクノロジーを「5G」「AI」「ビークルテック」「AR/VR」「Startups」の5つにわけてキーノートの各所で紹介されたり、展示会場ブースがまとめられていました。5つ分野については後半で詳しく解説します。
5GとAIがすべての根幹にある
5Gがはじまるとこれまで以上に大容量の情報を遅延少なく、高速に送受信できることですべての産業にインパクトがあります。国をまたいでの心臓手術や遠隔で重機を操作した工事が可能になったり、自動運転やスマートシティの実現を加速させたり。またこれまででは考えられなかった産業や企業同士のコラボ・パートナーシップを生む可能性を大きく秘めています。これまで分散していたデータがつながり、集約されることでAIが各テクノロジーや分野でこれまでできなかったことを次々に可能にしています。5GとAIをベースとして、その上での各種スマートテクノロジーが成り立っています。
5つのスマートテクノロジーのテーマごとに印象的な展示をご紹介します。
5G
各国で5Gの立ち上げを競争している中で、中国では3大キャリアが協力して40の都市で5G実現に向けて取り組んでいます。1Gからの進化としてまず電話やテキストが送れるようになり、3Gでインターネットに接続、4Gではストリーミングが可能になり動画や音楽が発展しました。5Gは建設業と通信会社が協業したりなど、新たなパートナーシップを可能にていきます。5Gは以下のプロダクトを実現する上ですべての根幹として考えられています。
AI
AIは無人店舗や顔認証、自動運転や需要予測や分析など生活の至ることろに存在し、存在がもはや特別なものではなくなりつつあります。日本では人口減少による労働力減少をAIやロボティックスの発展で補うことが急務であり、韓国は政府が強く主導してAI開発を牽引したりと各国それぞれ発展の背景が異なります。
教育や接客としてのロボット
今回の展示ではスマートディスプレイにキャラクターを搭載したモデルや、スマートディスプレイを拡張したような子供向けの知育ロボット・接客を効率化するための案内ロボットが多く見られました。
「無機質なタスク処理を行うロボット」を脱却しようと、人とロボットの関係性を模索しているのが現状のようです。1つの解として「人に寄り添う、キャラクター性のある愛らしい存在」のロボットがたくさん展示されていました。
顔認証による需要予測や決済
苏宁易购では需要予測やアプリ内の会員情報と店舗のセルフレジにて顔の紐付けを行うことで、顔認証による決済が可能になる展示がありました。
AR/VR
ARデバイスがほぼサングラスと同等のサイズまで軽量でかつコンパクトなものまで登場しはじめました。またVRの技術では視覚以外にも自身が運動したり、音や振動を感じたりと拡張が始まっています。※拡張VRの事例紹介を後述のスタートアップでも紹介しています。
ARメガネ
医療の現場や物流・倉庫などの業務効率化につながる仕事はもちろん、エンターテイメントコンテンツやゲームなど、プライベートで使用することを想定した小型のARメガネの展示が目立ちました。
ゲーム筐体としてのVR
VRLEOはゲームセンターなどの店舗開設や人を雇用せずともVRゲームを提供できるゲームの筐体です。
ショッピングモールや地下鉄・娯楽施設など人通りの多い場所の小スペースを活用できるのが特徴的です。WeChat Payで4.98元を支払うと5分間遊ぶことができました。(2019/6/12時点)
ビークルテック
5Gが生まれることで、車同士だけでなく街や交通システムとつながることで交通需要予測や事故防止への取り組みなど、自動運転を含め移動手段全体がつながっていきます。スマートでスムーズな移動技術が進歩することで、より快適な生活を育んでいきます。また中国では2018年時点で自動車全体の販売売上が前年割れしている中で、普通車とは対象的にEVが前年160%成長など急速に拡大しています。
ビークルテックのスペースは6会場中2会場を使用し、他のスペースに比べても各社気合の入った展示が多く見受けられました。
中でも、自動運転・カーナビのOSが特徴的で「車の中から家電を操作するデモ」や、「未来で自動運転が当たり前の世界を仮定し、乗車体験を再定義する動画・プロトタイプ」が多く、5G到来時の基盤づくりを行なっている印象です。
「Holoride」車の移動速度とVRコンテンツが連動しており、乗車体験を楽しめるコンセプト動画。外の展示ではこのデモを体験することもできた。
スタートアップ
中国ではスタートアップ企業も活発でたくさんの企業が生まれては消えていく中で、新しいイノベーションも生まれています。
VRの拡張型
Birdlyでは、マウスやボタンなどは一切使用せず、腕や手を使って鳥になった気分が味わえます。その他にも、ジェットコースターVRと大型筐体ゲーム機を掛け合わせることで、今までにない没入感を体感することができました。
Whale Future Store
店舗内の「顧客の行動を追跡するカメラ」と「顔認識ができるカメラ」を活用し、ディスプレイに表示される広告や、パーソナライズされたクーポンなどを表示することができます。
トークセッションでは最新テクノロジーの紹介に合わせて、各国のテクノロジー普及動向についても言及がありました。
アジア地域の人々は、欧州と比べて2倍以上も新しい技術に対して意欲的です。その中でも中国は、スマートスピーカーやデジタルアシスタントといった新しい技術を世界の他の国と比較しても導入スピードが早い。ユーザーも個人の情報をサービス側に提供することに大きな抵抗はなく、むしろレコメンドされることを好む傾向にあります。一方で、日本はマーケットが大きいにも関わらず新しいテクノロジーの導入がとても保守的で遅いので世界的にもユニークな存在です。調査・分析によると日本は情報のやりとりにセンシティブであったり、長い間経済が停滞していた影響で国民全体が新しいものを取り入れるのに積極的ではないとありました。
またスマートスピーカーの活用用途で中国、韓国、日本、シンガポールの4カ国とも天気やニュース、時間などの情報取得が1番でした。日本や韓国の次に来る用途が音楽などのエンタメが来る一方で中国はコマース利用が2番目に挙げられていたのが非常に印象的でした。日本では音声UIの導入が徐々にはじまっているフェーズですが、中国ではモバイルペイメントの普及やテックジャイアントの強力なプロモーション、そして新しいものをどんどん取り込む国民性の影響から、声だけでものを買うのが当たり前になりつつあります。これは北米や欧州と比較しても特筆すべき特徴であると紹介されていました。
所感
白木:新しい技術はその目新しさが落ち着き、実用化を具体的にイメージできる段階にはいりました。プロダクトとしては、掛け合わせ、組み合わせで新たな体験を生み出しているもの、小型化や親近感をわかせる工夫でより身近なものになってきています。私たちも新しい技術を取り入れるだけに留まらず、世界がよりよくなるため、ひとびとの喜びを増幅させるようなプロダクトをつくっていきたいです。
中村:キーノートに「すべてのデータがつながっていく時代」とありましたが、本イベントに参加することで今後の発明は「説明や写真だけでは、何が具体的にどう新しくて素晴らしい体験なのか?」実感値をもって理解することができないものも増えそうだと感じました。これからも新しい体験をキャッチアップしつつ、データを人々のために活用し、みんなの心に寄り添えるサービスを提供していきたいと思います。
新井:強烈に真新しい技術を今回見つけられませんでしたがキーノートや展示からAIをはじめとしたスマートテクノロジーが特殊なものではなく当たり前に生活に入っていく近い未来を痛感しました。国の特徴比較で日本は遅いと言及がありましたがそれを打破できるように人々の生活が豊かにまたおもしろくなるものづくりをしていきたいと思います。
最後に
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