
はじめに
こんにちは。ZOZOTOWN開発本部プロダクト戦略部Tech-PMの高橋です。普段はZOZOTOWNの新機能開発、改善に関わりながらPMとしてプロダクトの開発進行を担当しています。
今回は、2023年11月にリリースした「アイテムレビュー機能」にまつわる、約2年間のプロジェクトの裏側とリリース後に直面した課題、そしてどのように改善を進めていったかをまとめました。
待望のアイテムレビュー機能、ついにリリース
ZOZOTOWNでは以前から、お客様・ショップ様双方からレビュー機能の追加を求める声が多く寄せられていました。しかし、監視体制、ブランド様の意向、開発規模など、越えるべきハードルが多く、長年リリースできずにいた背景があります。
そんな中、2023年11月29日、ついに念願のレビュー機能を公開しました。リリース後Xの反応でも「やっと付いた!」「助かる!」という声が多く、ポジティブな反応は81.5%を占めていました。

リリース後に売上指標が低下
好評を得た一方で、リリース後商品詳細ページ経由の売上指標(カート投入率 / CVR / 受注金額)などが低下していることがわかりました。
ユーザーの反応は良く、ZOZOTOWNとしても待望の機能です。そのため、レビュー機能自体を即座に削除する判断ではなく、「アイテムレビューあり」で売上数値を改善させる事を探る改善プロジェクトがすぐに立ち上がりました。
先に結論:今のUIとリリース直後UIの比較
一見すると、大きな差異はありません。違いは商品名の下に★があるかないかだけに行き着きました。この違いに到達するまでの改善プロセスを紹介します。
改善スピード最優先の体制構築
改善方針が決まるまでのスピードが求められる状況だったため、次のように体制を再構築しました。
- 最小限メンバーで改善内容の検討
- PM / 企画責任者 / 開発責任者 / デザイン / 分析のみに絞る
- 意思決定者をZOZOTOWN CPOの1名に統一
- 開発優先度をトップクラスに設定
- 改善内容を決めてから開発を開始
ZOZOTOWNは開発に関わる方がとても多く、さまざまな関係者や確認フローが存在します。すべての関係者に確認を取っているとひとつひとつの進行に時間がかかりすぎる事となります。この体制により、コミュニケーションコストが大幅に削減され、改善サイクルを高速に回すことができました。
3回に渡るABテストの実施
商品名下の★削除に行き着くまで、3回に渡るABテストを実施し、改善するパターンを見出しました。
- 1回目ABテスト:アイテムレビューUI「ありvsなし」
- 2回目ABテスト:レビュー件数が0件の時の見せ方改善
- 3回目ABテスト:アイテムレビューUI全体の最適化
1回目:アイテムレビューUI あり VS なし
アイテムレビュー機能リリース後初めてのABテストです。レビュー機能の有無が、同一商品の売上数値にどれだけ改善寄与しているかを計るために実施しました。
- Aパターン:アイテムレビュー機能あり
- Bパターン:アイテムレビュー機能なし
結果「なし」の勝利

最初の検証の結果、レビューUIを表示しないパターンのほうが売上指標は良いと分かりました。しかしこの段階では、機能そのものを消す判断はせず、「レビューの“見せ方”に問題がある」という可能性を考え次の検証へ進みました。
2回目:レビュー件数が0件時の見せ方改善
1回目ABテストの結果から、レビュー件数が0件の場合、売上数値が顕著に低下することが判明しました。
仮説
- レビュー件数が0の場合でも★の表示があることで、レビューがついていない商品のレビュー点数が、「0点」として認識されてしまっているのではないか。
ABテストパターン
- Aパターン:アイテムレビュー機能あり
- Bパターン:アイテムレビュー機能なし
- Cパターン:レビュー0件の場合に、商品名下の★と、リストUI上の★を削除する
- Dパターン:レビュー0件の場合に、レビューUIごと削除する

結果
- 「B:レビューUIなし」が一番結果◯
- CパターンvsDパターンを比較した場合、「C:0件★削除」が結果◯
結論
- レビュー件数が0件だった場合に限り、「C:0件★削除」パターンを採用
- Bパターンが一番いいのは変わらないため引き続き改善検討
3回目:アイテムレビューUI全体の最適化
1回目、2回目ABテスト結果から、以下の事が分かりました。
- ★レビュー点数が 4.5 以上の場合、レビューを表示したほうが売上指標に良い影響を与える
- レビュー件数よりも、点数の方が重要である
- レビュー件数が5件以下の商品PVが、商品全体PVの約6割
仮説
- レビュー点数が低い商品の場合、★の表示は購買意欲に悪影響を及ぼしているのではないか
- ★の表示は、レビュー全体の平均値として出しているが、本来高いレビュー点数になりうる商品でもレビュー件数が少ない(1件〜3件など)商品で、レビュー点数が低い場合、悪影響を及ぼしているのではないか
ABテストパターン
- Aパターン:アイテムレビュー機能あり
- Bパターン:アイテムレビュー機能なし
- Cパターン:商品名下の★をレビュー件数に関わらず削除する
- Dパターン:レビュー件数が3件以下の場合、商品名下の★と、リストUI上の★を削除する

結果
- 「Cパターン:商品名下の★をレビュー件数に関わらず削除する」の勝利
この結果から、レビュー機能を表示したほうが、表示しない場合と比べて売上指標の向上につながることが分かりました。
最終的にたどり着いたUI
最終的には、次の仕様で改善をリリースしました。
- レビュー件数が1件以上の場合
- 商品名下の★を削除
- レビュー件数が0件の場合
- 商品名下の★に加えて、リスト上の★も削除
売上指標へのインパクト
2024年度にZOZOTOWNで実施したプロダクト改善によるGMV純増のうち、57.2% がレビュー機能改善による効果でした。
リリース直後の売上低下を巻き返し、改善によって大きく貢献できた取り組みとなりました。
今回の改善から得た学び
待望の機能でも、UX次第で期待とは異なる効果が起きうる
- ユーザーがどう「解釈」するかに細心の注意が必要。
レビュー件数より、レビュー点数の方が購買に大きく影響
- 件数が少ない場合、平均点が安定しないケースも。
スピードが求められる改善では、意思決定者を絞ることが重要
- プロジェクトの推進力が段違いになる。
諦めず、データに基づいた検証を重ね続けること
- 今回の最適解は、3回のABテストの積み上げによって辿り着いたもの。
まとめ
今回の一連の改善プロセスは「ユーザーにとって本当に価値あるUIとは何か」「プロダクトの成長に必要な意思決定とは何か」を改めて深く考える機会になりました。今後もレビュー機能の価値向上と、より良い購買体験の実現に向けて改善を続けていきます。
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