ZOZOMO部OMOブロックの振り返りの文化を大公開!継続的なカイゼンを通してチームを成長させていく

ZOZOMO部OMOブロックのレトロスペクティブの文化を大公開!継続的なカイゼンを通してチームを成長させていく

はじめに

こんにちは、ZOZOMO店舗在庫取り置きというサービスの開発を担当している、ZOZOMO部OMOブロックの木目沢です。

皆様のチームでは定期的に振り返りをしていますか?

弊ブロックではZOZOMO店舗在庫取り置きサービスをスクラムで開発しています。スプリント期間は1週間で、スプリントの終わりには毎週振り返り(スクラムの用語では「スプリントレトロスペクティブ」)をしています。

今回はなぜ振り返りが欠かせないか、毎週振り返りを行ってきた成果や数々のプラクティスやワークと共に紹介します。

目次

なぜスクラムでは振り返りが必要なのか?

スクラムは複雑な問題に適応するためのフレームワークでアジャイルにおける開発プロセスの1つです。

スクラムには振り返り(スプリントレトロスペクティブ)がプロセスの一部として組み込まれています。現時点で最新である2020年のスクラムガイドには以下のように振り返り(スプリントレトロスペクティブ)が説明されています。

スプリントレトロスペクティブの⽬的は、品質と効果を⾼める⽅法を計画することである。

スクラムチームは、個⼈、相互作⽤、プロセス、ツール、完成の定義に関して、今回のスプリントがどのように進んだかを検査する。多くの場合、検査する要素は作業領域によって異なる。スクラムチームを迷わせた仮説があれば特定し、その真因を探求する。スクラムチームは、スプリント中に何がうまくいったか、どのような問題が発⽣したか、そしてそれらの問題がどのように解決されたか(または解決されなかったか)について話し合う。

(中略)

スプリントレトロスペクティブをもってスプリントは終了する。

スプリントの終わりに必ず振り返りを行い、うまくいったこと、いかなかったことをチームで話し合います。

スプリントの終わりに振り返りを行う理由はメンバーの認知負荷の問題によるものです。複雑な状況に適応しているということは、もともとそれだけメンバーの認知負荷が高い状況にあります。振り返りの間隔が長くなるとチームのメンバーの認知負荷はさらに高まり、有効な振り返りがしづらい状況になります。1か月前のできごと、半年前のできごとを覚えているでしょうか。起きたことを記録していたとしてもそれらを掘り起こして思い出すのも大変困難です。このような状況で、開発をもっとうまくやろう、プロダクトをもっとうまくやろうと振り返ることは難しいのです。

一方で、ウォーターフォールのような予測計画型のプロセスでは、フェーズごとに異なる作業をするため、短期間での振り返りが効果的に活用されないことがあります。とはいえ、プロジェクトを成功させるため、次のプロジェクトで活用するためにも、適切なタイミングでの振り返りが重要です。

振り返りが続かない・活かされない理由

振り返りを実施していたがうまくいかずにやめてしまった、または頻度を減らしてしまったというようなチームも多いと思います。ここではうまくいかない振り返りのやり方とその理由・対処法をいくつか紹介したいと思います。

チームとしての振り返りになっていない

振り返りを行う際に、個々のメンバーの感想が中心になってしまうことがあります。しかし、これではチーム全体の成長や学びに繋がりにくくなります。個人の振り返りも大切ですが、組織として目指すべきは、チーム全体としての学習と成長です。

なぜチームなのか? ということを理解することが重要です。

ソフトウェアを作ることが容易になった現代において、ソフトウェアの適用分野が広がり、ソフトウェアに求める要求が複雑化してきたという背景が影響しています。さらに、ソフトウェアを作ることは容易になりましたが、実装技術やアーキテクチャは非常に複雑化しているということです。iOSやAndroidといったスマホアプリ・AWSなどのクラウド・マイクロサービス、CQRS・CI/CD・DevOpsなどそれぞれに専門家が必要なくらい技術領域が広がっています。

ビジネス的・技術的に複雑化している今の時代は一人で大きなことを成し遂げるのが困難な時代と言えます。

そんななかでチームにおける個々人はいわゆる「群盲象を評す」状態です。各メンバーは同じ事象を経験しているにもかかわらず人により見ている観点が違うため、それを主張・共有しあってはじめて今起きていることを把握できるのです。

振り返りも個人の振り返りだけではなく、それぞれがチームを評してこそチームの現状が見えてくるというものです。

チームとしての場ができていない

場とはなにか?

先ほどの「群盲象を評す」のお話を例に説明します。

この話には数人の暗闇の中の男達が登場する。男達は、それぞれゾウの鼻や牙など別々の一部分だけを触り、その感想について語り合う。しかし触った部位により感想が異なり、それぞれが自分が正しいと主張して対立が深まる。しかし何らかの理由でそれが同じ物の別の部分であると気づき、対立が解消する、というもの。(Wikipediaより要約)

まず 「主張して対立」 する。その後に 「何かきっかけ」 があって別の部分だと気づいて対立が解消するのです。

つまりチームがまず「主張し合える」環境にないといけないことがわかります。

この点をダニエル・キムはOrganizing for Learningという書籍で「組織の成功エンジン」という図を用いて説明しています。

組織の成功エンジン

(出典:ダニエル・キム著 Organizing for Learning : Strategies for Knowledge Creation and Enduring Change)

うまくいっていない組織ではしばしば、経営陣と現場、部署間、上司・部下、あるいはチーム内で犯人探しをしたり、必死に自己正当化したりすることがあります。つまり、「関係性の質」が低い状態です。関係性の質が低いと共有や共働が起こらず「思考の質」が狭まります。そうすると、無秩序でバラバラの行動になり「行動の質」が下がる。最終的に結果が出ず、失敗からの学びもないため「結果の質」が下がります。そして結果が出ないため、さらに「関係の質」が下がるという負のループが起こります。

この負のループを打破するために必要なのが 「場の質」 です。チームメンバーが話し合う場を高め、関係性の質を改善すると負のループだった組織の成功エンジンは正のループに変わっていきます。

よく 「心理的安全性」 と言ったりしますが、心理的安全性がチームに必要な理由はこの点になります。

もちろん犯人探しをしたり、自己正当化したりといった上記の例は極端な例ではあります。程度の差はありますが、以下のような状況も関係性の質が下がっている状態と言えるでしょう。

  • 雑談が少ない

  • 仕様に関する会話はするが、アーキテクチャに関する議論やプロセスに関する議論がしづらい

  • チームを超えた提案や事業に関する提案・議論がしづらい

関係性の質が現時点でどの程度高いのか、低いのかをチェックしてみるとよいでしょう。

場の質を高めるためには、ワークショップが適しています。ワークショップでは全員が参加し、手を動かすことが前提となるため必ずメンバー全員の話を聞くことになります。そのため、お互いの主張を言い合える良い場になりやすいです。

たとえば、スキルマップをみんなで作るとか、ドラッガー風エクササイズでお互いの期待を共有するとか、パーソナルマップでお互いを知るなど色々なワークがあるので参考にしてみてください。ZOZOMO部で行ったスキルマップや自分が作成したパーソナルマップを画像で紹介します。

  • ZOZOMO部で行ったスキルマップ スキルマップ

  • パーソナルマップ。作って共有するのではなく、見せてチームメンバーに質問してもらうのが肝です。 パーソナルマップ

場を作るのも、ワークショップをするのも、振り返りも準備を含め時間をわざわざ取る必要があります。設計や実装する時間以外にそこそこの時間が必要なわけですが、組織の成功エンジンは ループ になっているので、関係性の質が上がれば上がるほど結果の質がさらに上がる構造になっています。つまり場の質、関係性の質を改善することに対する時間の投資は簡単にペイできるということです。

場の質・関係性の質を改善し、チームの振り返りが「群盲象を評す」でいうところの「何かきっかけ」になると良いチームになっていくと思います。

振り返りのプラクティスやチームのワークを紹介

最後に、ZOZOMO部で行った振り返りのプラクティスやワークをいくつか紹介します。

ZOZOMO部では普段KPT(Keep/Probrem/Tryを洗い出す)を使って振り返りをしています。

毎回同じ手法で振り返りを行うのもループが回ってよいですが、やはり飽きてしまっていつの間にか同じ意見しか出なかったり、個人の感想しか出なくなったりします。刺激を入れるためにときには別の振り返りをしてみるというのも継続するコツでもあります。

KPT as ART

実施したのが年末だったので1年を振り返ってみるというのも兼ねてとにかくアウトプットしまくろうというものでした。枠を埋めるまでKeep/Probrem/Tryを書きまくるというプラクティスです。最後には、来年に向けて抱負となりそうなTryを選択して終了しました。これはどちらかというと場をつくるためのワークに近いですね。

KPT as ART

チームコンピテンシーマトリックス

こちらは「自分たちのチームに必要な能力」は何かというのを可視化して、チームとしてそれらの能力をどのくらい有しているかを確認し合うワークです。将来的に身につけたいというのも確認し、将来的なチームの成長も見越した計画を立てるために行いました。

コンピテンシーマトリクス

デリゲーションポーカー

たとえば上司や部下といった上下関係間、PO・スクラムマスタ・開発チームといった役割間においてやり取りが必要なケースを洗い出します。各やり取りの場面において「指示する」ことが必要なのか、「説得」することが必要なのか、「相談」すればよいのかなど、必要なコミュニケーションの程度を確認し合うワークです。それぞれの場面に対して、どのコミュニケーションが必要なのか一斉に投票してもらうと意外に合わないことが多いです。ここで認識合わせをすることでよりワーク後、円滑なコミュニケーションが期待できます。

デリゲーションポーカー

おわりに

今回はチームになぜ振り返りが必要なのか? そして、ZOZOMO部で実施した振り返りやワークを紹介してきました。ぜひ参考にしてみてください。

ZOZOでは、一緒にサービスを作り上げてくれる方を募集中です。ご興味のある方は、以下のリンクからぜひご応募ください。

hrmos.co

corp.zozo.com

最後までご覧いただきありがとうございました!

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