VASILYではエンジニアが海外で行われるカンファレンスに参加できる制度があり、毎年iOSアプリのエンジニアが WWDC に、Androidアプリのエンジニアが Google I/O に参加しています。 今年もAndroidアプリのエンジニアである私、 @yoichinishimura が6月25日、26日に行われた Google I/O に参加してきました。
今年のI/Oでは、 Material Design やAndroid関連の多くの発表がありましたが、その中で私が一番に関心を持ったのが Android Wear でした。 半年ほど前に公開されたPreview版のSDKにはさほど興味は湧かなかったのですが、正式なSDKが公開されたのと、会場で参加者に配られた Samsung Gear Live を身につけていたら急に興味が湧いてきました。
今回は Android Wear とはいったいなんであるのか ということをI/Oのセッションや公式ドキュメントで学んだことと、私の考察を混ぜながら紹介したいと思います。
1. Android Wearとは
I/Oに行く前は 『 Android Wear とはGoogleが提供するOSを取り入れた時計、つまりスマートウォッチのこと』と勝手に思っていたのですが、どうやらスマートウォッチのことだけじゃないと Wearable computing with Google というセッションで知りました。 セッション内で Google Glass が Android Wear に対応するという発表があったのですが、つまり対応後は Google Glass も Android Wear という扱いになるそうです。
つまり Android Wear とは Androidと通信することができるウェアラブル端末すべて を指すのです。Androidが起こすIoTの時代がやってきたと感じました。 Android Wear イメージ的には以下の画像の下部にあたると思います。
2. 既存アプリのAndroid Wearの使いどころ
Android Wear の開発をはじめる方はGoogleが出している公式ドキュメントを一読することをオススメします。 Android Wear の一番の基本機能は Context Stream と呼ばれるカードリストを表示させるところです。 「Google Nowに似たもの」とイメージすればわかりやすいと思いますが、1画面に1カードAndroidから送られるNotificationなどの情報を表示します。
デバイスの操作は、スマートフォンと同様にタップやスワイプ、Yes or Noなどの簡単な操作、音声入力などが行えます。
実際に使ってみるとよくわかりますが、スマートフォンに比べて行えることが限りなく少ないですし画面も非常に小さいです。 そのため既存アプリを上手く対応させようと思うとかなり苦労すると思います。 話は戻りますが Wearable computing with Google のセッションで以下の図が出てきました。 Wearableの開発をするにあたっては従来の デザイン・開発・デバッグ(テスト) の工程に加えて UXイテレーション が重要になるそうです。 開発者が意図するUXを実現してもらうため、Webやスマートフォン以上にWearableの開発にはUXに関わる時間を使う必要がありそうです。
iQONでも Android Wear 対応をするには既存機能の中で何の機能を実装するのが最適であるのかを考えてみたのですが、定期的にユーザーにGCMで送っている以下のような情報を Android Wear に最適な形で対応すると効果が高いと考えました。
- Likeしているブランドのアイテム追加情報
- アイテムが割引になった際のセール情報
- Likeしているアイテムが売り切れ間近の在庫情報
常に見たい オトクでタイムリーな情報 を配信するのは Android Wear 冥利に尽きると思いますし、使い方としては間違っていないと思います。 先日 Android Wear 対応するのに必須な Google Play Services のバージョンアップも済ませたので、近日 Android Wear 対応したバージョンを配信する予定です。
3. Android Wear開発のはじめ方
最後に、簡単にはじめられる Android Wear 開発のはじめ方を紹介します。
Hello World!出力
まずは Android Studio をインストール 、もしくは v0.8.0 以上にアップデートしてください(SDKの更新も忘れずに)。 https://developer.android.com/sdk/installing/studio.html New Project を立ち上げて、 Select the form factors your app will run on まで進んで、 Phone and Tablet と Wear にチェック を入れてください。あとはポチポチとNextを押下してプロジェクトを作成してください。
プロジェクトが出来上がると mobile wear と見慣れないディレクトリ構成でプロジェクトが立ち上がります。
mobile の Configuration を選択し Android のスマートフォンの 実機 or エミュレータにビルドを行い、 wear の Configuration を選択し Android Wear の 実機 or エミュレータ にビルドを行うことで、各デバイスに Hello World! を出力することができます。
サンプルコードで学ぶ
SDKマネージャーから Android 4.4W のパッケージをインストールすると以下のパスにいろんな利用シーンを想定した17個サンプルのプロジェクトができています。 それをビルドしながら実際に動かし、コードを読み進めていくと Android Wear でどういうことができるのかを効率良く学ぶことができます。
$ /samples/android-20/wearable/
併せて 公式の開発ドキュメント を読みながら Android Wear から新しく登場したクラスを探ってみると更に理解が深まると思います。
4. まとめ
ざっくりと Android Wear について紹介しましたが、実際に手にとって使ってみないと良さがわからないと思うので興味のある方は発売開始したスマートウォッチを手に入れてみてください。 時計や眼鏡は常に身体に身につけているものなので、手に取って操作しないといけなかったスマートフォンでは提供できなかった新しい体験が Android Wear では提供できると思います。 最後の最後に現実の話をしますと Android Wear と連携できるのは Android 4.3 以上の端末のみ です。 2014年7月14日現在、世界全体の25%のユーザーしか対応OSを使っていないですし、iQONに至っては12%のユーザーのみです。そこから Android Wear 端末を購入して使うユーザーがどのくらいいるかを考えるとかなり少ないと思います。 Android Wear 対応を急ぐことはありませんが、前述の通りシンプルそうに見えても効果を最大限に対応するにはかなり難しい印象です。 そのため今からスタートダッシュで開発を進めノウハウをためるのがベストだと思います。iQONも先陣を切ってウェアラブル対応を進めていきます。 iQONを開発しているVASILYでは先陣を切って世界にインパクトを与えたい Androidエンジニア を大募集しております。 【Android】世界で勝ちたいAndroidアプリエンジニア募集 また情報交換なども随時行っていきたいと考えているので勉強会などの開催、参加についても気軽に相談頂ければと思います。 info[at]vasily.jp や @yoichinishimura などで気軽に連絡いただければと思います。