ZOZOテクノロジーズの技術顧問 岸川氏、松田氏、Matz氏に聞くエンジニア人生。 〜とにかく書く、書くことを楽しむ〜

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こんにちは、広報の坂井です。ZOZOテクノロジーズ発足から1年。2019年4月現在、ZOZOテクノロジーズは3名の技術顧問を迎えています。iOSアプリ開発の第一人者である岸川克己氏、Ruby,Ruby on Railsコミッターの松田明氏、そしてRubyの生みの親であるまつもとゆきひろ氏です。

3名にインタビューを行い、ZOZOテクノロジーズの技術顧問になった背景や、エンジニア人生について語っていただきました。

岸川 克己 氏(@k_katsumi

iOS/macOSアプリケーションの開発者。様々な企業にテクニカルアドバイザーとして関わる。また、多数のオープンソースライブラリをGitHubで公開。2019年1月よりZOZOテクノロジーズ技術顧問。

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松田 明 氏(@a_matsuda‏)

Rubyコミッター。Ruby on Railsコミッター。kaminariaction_argsactive_decoratorなどのライブラリの作者。地域コミュニティAsakusa.rbの発起人。RubyKaigiのチーフ・オーガナイザー。最後のRuby Hero。2019年1月よりZOZOテクノロジーズ技術顧問。

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まつもと ゆきひろ 氏(@yukihiro_matz

1965年生まれ。筑波大学第三学群情報学類卒業。プログラミング言語Rubyの生みの親。株式会社ネットワーク応用通信研究所フェロー、一般財団法人Rubyアソシエーション理事長、ZOZOテクノロジーズをはじめとした複数社の技術顧問、Herokuチーフアーキテクトなどを兼任。松江市名誉市民。通称 Matz。

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やる気がある人がジョインすれば、さらに活躍できる風土

ー 技術顧問を引き受けてくださった経緯を教えていただけますか?

Matz:VASILY(2017年10月 ZOZOグループにM&A)の頃に、社員から「技術顧問になってもらえませんか」と、声を掛けられたのがきっかけです。

当時、Rubyを作っている立場として、実際に使っている人との距離があるのを感じていました。自社サービスを提供しているVASILYなら、Rubyをどう使っていて、どこが使いにくい、というような意見も聞けるのではないかと思い、引き受けようと決めました。

VASILYは自分が初めて技術顧問を引き受けた会社ですが、その時に自分自身に対して決めたルールは、“自社サービスを提供する会社”であること。どのようなサービスを提供し、どのような技術を使うかを自分たちで決め、開発している会社と話がしたいと思いました。そういった意味では、VASILYやZOZOは条件にも合っていますし、ファッションという領域は自分が知らない分野でもあるので、面白そうだと感じました。

岸川:自分も、社員の方に誘われたのがきっかけです。その方とはかれこれ4〜5年の付き合いになります。フルタイムの仕事があることもあり、これまでも積極的に技術顧問の仕事を増やしているわけではありませんでした。

しかし、熱心に依頼をされたこともあり、少しでも役に立てるのであればという思いで引き受けました。

ー ZOZOテクノロジーズの社員と実際に関わってみて感じることはありますか?

岸川:もう少し自由にチーム作りをやってみても良いのでは、と感じる部分がありますね。入る前から“こういうチームにしたい”というビジョンは聞いていて、そのために1つ1つこだわりていねいに取り組んでいるように感じます。

当事者のエンジニアが自信を持てていない瞬間もあると思うので、「そのやり方は間違ってない」「今のフェーズならその技術の選択はあり、なし」という、背中を押すようなアドバイスをしながら、役に立っていきたいです。

松田:良い意味で、若くて野心のある会社という印象です。良いものをどんどん取り入れようとする気持ちが強く、伸びしろがあります。

やる気がある人がジョインすれば、さらに活躍できる風土があるので、その良さを活かしたサポートがしたいと感じています。

ー 今後、技術顧問としてどのようにZOZOテクノロジーズに関わってくださるのでしょうか?

Matz:技術顧問なので、直接ZOZOグループのソフトウェア開発をするわけではなく、開発エンジニアと話をしながら、彼らの知らないことを教えてあげたり、モチベーションをあげたりという手伝いができたらいいなと思っています。

本を読めば「この機能はこう働きます」「こうやって使います」ということは書いてありますが、なぜそれを導入したのか、なぜこうなっているか、ということは書いていないので、そのあたりを説明できるのは私の強みだと思っています。

大切なのは、とにかく書くこと

ー エンジニアとして大事にしている考え方があれば教えてください。

松田:とにかくコードを書くということです。「コードを書く」というのはもちろんオープンソース的な意味で、ですね。「現場の今ある課題をきちんとオープンなコードで解決する」というのは日頃から考えてます。かれこれ10年くらいは発表の度に同じことを言い続けてる感じです。

このへんの考え方は、Ruby界の先輩方の影響が大きいように思います。特にまつもとさんですね。こんなやり方で世界を変えた日本人は、他には居ませんよね。

岸川:最終的にソースコードを公開するというのはとても大切だと考えています。エンジニアリングで大事なことはたくさんありますが、どう書くかという所に、結局1番違いが出ます。良いコードは良いコードとして存在するので、どんどん書いて小さなものからオープンにしていくことが大切だと考えています。私自身は、ソフトウェアは最終的にオープンソースになって完成するのではないかという原理主義的な考えを持っています。

そして、改善し続けることもソフトウェアにとっては非常に重要なことです。何かを作って終わりではなく、常に改善が必要です。作る過程では良くないとされる選択をすることもありますが、理由を持ってその選択ができたり、あとでちゃんと直すことができたりというのが、今最も重要なエンジニアの仕事なのではないかと思っています。

ー これからの時代、エンジニアとしての道を歩むために大切なことはなんですか?

Matz:自分で道を切り開けることではないでしょうか。エンジニアは1人ではできないことが多く、チームでプロダクトを開発することが多いです。例えばRubyも、はじめは私1人で始めましたが、今では皆で作っています。

そういう中でも自分のポジションを維持して存在感を出したり、エンジニアとして尊敬される人になることが大切です。尊重されている人は搾取されません。搾取するような人とは無縁の道を歩めるエンジニアになれるといいですね。

岸川:これは、先日The Art of Senior Engineeringというイベントでもお話させていただいたことですが、私はエンジニアの将来は楽観的に捉えています。エンジニアとしての能力がちゃんとあれば心配ありません。能力というのは、ソースコードを読み書きする以外にはないと思っているので、読む時間、書く時間に関わり続ける仕事につくことは大事なのではないでしょうか。

私はフルタイムで働くFOLIOの中で、誰よりもコードを書いているという自負があります。一般的に言う大切なことである、学習することや変化に対応することは、好きであればいくらでもできるので、楽しんでやってほしいです。

コードの読み書きする能力以外に判断する基準はないので、「他の人はどうだろう」などといった不要なことを気にする必要はありません。成長に安易な近道はない。何かを犠牲にしてやる必要はなく、楽しんで力抜きながら継続していきたいですね。

松田:今の時代、プログラマーほどラッキーで幸せな仕事はないと僕は思ってます。プログラミングをしてたらお金がもらえるなんて、すごくないですか!?仕事に困ることもないし、特別な訓練とか難しい勉強をしてなくてもやる気さえあればどこからだってはじめることもできます。僕らは、趣味がプログラミングです。プログラミングがお仕事だと思ってる人たちに、技術顧問という現場から少し離れた立場だからこそ、「プログラミングって楽しいんですよ」というのを気軽に伝えていきたいですね。

また、自分はRubyのコミュニティーにすごく助けてもらいました。OSSコミュニティーの存在はとても大きくてありがたいものなので、皆さんにもなるべく会社に閉じこもらずに、コミュニティーとうまく関わって楽しんでほしいです。

ー 最後に、就任にあたってメッセージをお願いします。

Matz:ZOZOグループが行う技術的なチャレンジを一緒やっていきたいです。Rubyという言語やその周辺のコミュニティの知見を集約して、ZOZOグループが今後直面する技術的な課題を共に乗り越えていきたいと考えています。

松田:しばらく関わってみて、まだまだ解決しなくてはならない課題がたくさんある会社だと思っています。それはネガティブな意味ではなく、やったらやった分だけすごくやりがいのある課題ばかりです。一緒に楽しみながら、解決していきましょう。

岸川:社員の方に声を掛けられたという小さなきっかけでしたが、チームの人とやってみると、それぞれからチームや会社、プロダクトを本気で良くしていこうという気持ちが伝わってきます。その気持ちに応えられるよう、私も頑張ります。

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最後に

3名の技術顧問の皆様、ありがとうございました。ZOZOテクノロジーズでは、各エンジニア職種で募集を行っています。技術的なチャレンジを続けながら成長したい皆様、ぜひご応募ください。

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