5月23日にリリースされた、音声だけでコーディネートを検索できるAmazon Alexaスキル「コーデ相談 by WEAR(以下、コーデ相談)」 。 ZOZOテクノロジーズ初となる音声デバイス向けのプロダクトを担当した3人に音声アシスタントの現在と今回のプロダクトでチャレンジしたことを聞きました。
■写真左:中村友香(以下、中村)
プロダクトの品質を高めることならなんでもやる、プロジェクトマネージャー
■写真中央:武田修平(以下、武田)
庭いじりをこよなく愛する、エンジニア
■写真右:権美愛(以下、権)
ユーザーが接触するところすべてに目を光らせる、デザイナー
ー 今回の「コーデ相談」は音声アシスタントを使ったプロダクトですが、そもそも音声アシスタントってどのようなものなんですか?
中村:音声アシスタントといっても色々あって、共通しているのは声でやりとりできるという点ですね。
最近だとGoogleアシスタントやAmazon Alexaは、テレビCMなどで露出が多いですし、身近になってきていると思います。
武田:フィクションの世界でいうと、ドラえもんやベイマックスとの会話がイメージしやすいかもしれないですね。例えばのび太が困ったことを伝えると、ドラえもんは状況を把握して解決するひみつ道具を提案してくれますよね。ドラえもんは実体がありますが、このやりとりって音声アシスタントと一緒ですよね。
ー そう言われると、ドラえもんって音声アシスタントっぽいですね(笑)。
権:ここまでくると、人間同士の会話と変わらないですよね。
中村:ただ現在の音声アシスタントのサービスを使ってみると、なかなか思い通りにいかないことが多いんですよね。 機械的というか、やっぱり人とのやりとりとは大きな違いがあります。図にするとこういうイメージです。
中村:現在のGoogleアシスタントやAmazon Alexaは、図の3番にあたると思います。
武田:音声の認識はAIが自動でやってくれるんですが、認識した内容に対してどう返答するかは、開発側がルールをつくって決めていくのでどうしても機械的になってしまうんですよね。「コーデ相談」では、機械的なコミュニケーションにならないように意識して設計しました。
ー 「コーデ相談」について教えてください。
中村:「コーデ相談」は、音声だけでコーディネートを検索できるサービスです。
例えば「デニムジャケットのコーデを教えて」と話しかけると、WEARに投稿されている800万件以上のコーディネート画像のなかから、 デニムジャケットを使用したコーディネートが見つかります。
ー どのようなユースケースを想定してつくったんですか?
権:ユーザーインタビューでファッションについて深掘りしていくと、毎朝の服選びに課題を感じているひとが多くいました。
具体的には「コーディネートがマンネリ化してしまう」「新しい服を買ったのに手持ちの服との合わせ方がわからない」といったことです。
朝の忙しい時間なのでスマホで検索するよりも、出かける準備をしながら音声アシスタントに相談できたら、天気予報を聞くように毎日使ってもらえるプロダクトにできると思いました。
武田:でもプロトタイプで検証した結果、「コーディネートを提案するだけでおもしろくない」という意見が出ました。
ー おもしろさって難しいですね。
武田:そうなんですよ。ただ言っていることもわかって、プロダクトを見た時に「試してみたい」「明日も使ってみたい」って思えないのはまずいですよね。
そこで、チームでどうしたらその「おもしろさ」というものが提供できるかを考えました。
アニメーションを派手にするとか、音楽を流すなどいろいろな案が出たのですが、これらの案はコアな体験である「声でコーディネートを探す」という部分とずれてしまいます。
悩んだ結果、最終的に実装することにしたのは「会話自体に変化をつける」でした。
ー なるほど、人間っぽくしたわけですね!
武田:狙ったわけではないのですが、変化を追求した結果、これって要は人間らしさなんだろうなという気持ちになりましたね。結局目指すべきところはドラえもんだったなと。
権:最初にやったのはセリフのパターンを増やすことでした。 同じあいさつでも「こんにちは」「はい、どうもー」「中村さんにお会いできるのを、楽しみにしていました!」など複数の種類があります。
中村:セリフを増やすにあたり、キャラ設定を行いました。 チーム内でPinterestの共有ボードを作り、「どんな人とファッションの相談をしたいか?」 「その人は、どんなイメージか?」を深掘って言語化を行い、統一された人格で話しているように設計しました。
権:「仲良し度」という機能も追加しました。 繰り返し相談していくと親密度があがり、話すセリフが変化していくんです。 検索結果では「WEARで人気のコーデをご用意しました」というのですが、仲良し度が上がると「私がすきなコーデを表示します。冗談ですよ」と言ったりします。
中村:セリフを増やし、ランダム性と親密度を加えると、人間っぽくなっていきました。 それ以前の単調なやりとりとはまったく違う体験になりました。 音声アシスタントに命を吹き込んでいるような感覚でしたね。
ー 今後、「コーデ相談」はどのようになっていくでしょうか?
中村:「専属のスタイリストが、いつでもコーディネートの相談に乗ってくれるサービス」を目指します。
私は元々オタクでファッションに関心が低く、特に「おしゃれ」に対してコンプレックスや恐怖心に近い感情を抱いていました。 元アパレル店員の同僚に悩みを打ち明けたところ、私がすきそうな服を教えてくれたり、着回しの相談にたくさん乗ってもらい、ファッションの楽しさがわかりはじめてきました。
「コーデ相談」は、「ファッション」や「おしゃれ」というキーワードに対して苦手意識を抱いているような人でも簡単になりたい自分像に近づけたり、ファッションに対して自信を持つキッカケを提供できるサービスにします。
今後も、単に新しい技術を活用するだけではなく、未来で当たり前になっている体験をいかに今の技術で実現するかに挑戦していきます。
いかがでしたでしょうか。「コーデ相談」は、Amazon Alexa対応デバイスに「アレクサ、コーデ相談を開いて」と呼びかけるだけですぐにご利用いただけます。 3人が声を枯らすほど何度もアレクサに呼びかけながらつくった「コーデ相談」を、ぜひ体験してみてください。