MIRU 2018本会議・若手プログラム参加報告

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こんにちは。スタートトゥデイ研究所の真木です。 8月5日から8月8日にかけて開催されたMIRU 2018という学会に行ってきました。また、5月下旬から約2か月間にわたって実施されてきた「MIRU若手プログラム」という 若手研究者同士 の交流プログラムにも参加してきたので、今回はその報告をします。

MIRUとは

MIRUは正式名称を「画像の認識・理解シンポジウム」といい、21回目となる今年は札幌で開催されました。画像に関する研究の基礎から応用までがスコープに含まれ、この分野の学会としては 国内最大規模 です。今年は 700人 以上の参加があったようです。

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通常のポスター発表とオーラル発表に加え、画像認識のトップカンファレンスであるCVPRで採択された論文の招待講演、4件のチュートリアル講演、海外のトップ研究者を招聘した特別講演、異分野の研究者が集って将来展望について議論する特別企画など盛りだくさんの内容でした。

どの発表も素晴らしかったのですが、特に高橋さん(オムロン)によるGANのチュートリアルは、数式による説明と図・動画による説明のバランスが絶妙で大変素晴らしく、勉強になりました。
チュートリアル講演の一部は以下で発表資料が公開されています。
画像認識分野における深層学習〜CNN, RNNからマルチタスク学習まで〜,山下隆義(中部大学)

MIRU MIRUわかるGAN,高橋智洋(オムロン株式)

スタートトゥデイと画像認識

スタートトゥデイ研究所では、ファッションに関わる基礎・応用研究を行なっており、研究の道具として画像認識をよく利用しています。例えば、商品の画像からカテゴリを自動的に認識したり、アイテム画像の組み合わせからオシャレに見えるコーディネートを推薦する研究などを行なっています。
そこで画像認識の知見をさらに深め、この分野の研究者と交流するため、スタートトゥデイ研究所はMIRU2018にゴールドスポンサーとして協賛し、企業ブースで研究を紹介しました。 大変うれしいことに、多くの方々が私たちの研究に興味を持ってくださいました。ポスターまで足を運んでくださった皆さま、ありがとうございました。
こちらは期間中展示していたポスターです。

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若手プログラム

MIRU若手プログラムは画像認識に興味を持つ若手研究者の交流企画で、学生を中心に大学の研究者、企業の研究者など40名以上の若手研究者が集まりました。企画内容は、「異分野サーベイ」や「若手の未来を議論する」などの真面目な企画だけでなく、自己紹介LTや写真の「インスタ映え」を競うエンタメ系の企画もあり、本会議と並んでこちらも盛りだくさんでした。

メインの企画である異分野サーベイでは、参加者が画像認識以外の7つの分野から1つを選び、その分野のサーベイを行います。これは、異分野で使われている手法から着想を得て画像認識に持ち込んだり、逆に画像認識で使われている手法をその他の分野に持ち込むことでブレークスルーを起こすことを意図したものです。サーベイ分野は(1)ロボティクス(2)自然言語処理(3)HCI(4)心理学(5)データマイニング(6)音声(7)生体の7つで、わたしはデータマイニングのグループに参加しました。 各グループには若手P実行員が1人ずつオブザーバとして参加し、議論をファシリテートしてくれました。

サーベイを始めるに際し、まず5月中旬に実行委員の米谷さん(東大)と片岡さん(産総研)からそれぞれサーベイ論文の書き方やグループサーベイの方法について以下の資料が提供されました。これを読むだけでもかなり勉強になるのでおすすめです。特に、サーベイは単に新しい論文をまとめるのではなく、分野に対する新しい視点を読者に与えることが重要であるという米谷さんの指摘には蒙を啓かれました。

サーベイ論文の書き方,米谷竜(東京大学) https://www.dropbox.com/s/vvqxs698en01uf2/PRMU180518_yonetani_small.pdf

グループサーベイ方,片岡裕雄(産業総合研究所) http://hirokatsukataoka.net/temp/presen/180518PRMU_Kataoka.pdf

これを受け、各グループの参加者たちはそれぞれ遠隔地にいながらもSlack、Git、Skypeなどのツールを駆使して、約2か月半に渡ってサーベイに取り組んできました。わたしにとっては、自分の研究分野以外の分野をサーベイすること、チームで協力しながらサーベイをすること、その両方が初めての体験でした。研究者として成長していく上で、とても貴重な機会だったと思います。
サーベイの成果はMIRU期間中にポスターでMIRU来場者に向けて発表し、さらに本会議翌日に口頭発表を行いました。他のグループの発表を聞くことで多様な分野の最新動向を把握することができ、とても勉強になりました。全チームの発表資料が下記のURLにて公開されているので、ぜひご覧ください。

MIRU若手プログラム 異分野サーベイ 発表資料 https://sites.google.com/view/miru2018sapporo/wakate_top/各チームの発表資料

若手プログラム通じてたくさんの学生や他企業の方々と仲を深めることができ、またデータマイニングに関する知見を深めることができ、非常に有意義でした。若手P参加者のみなさん、実行委員の皆さん、本当にありがとうございました!

最後に

スタートトゥデイ研究所はまだできたばかりですが、ファッションという未開拓な分野を科学的な方法論で探求し、その成果を社会に還元するべく日々研究を行なっています。研究成果は、原則として会社内に留めることなく論文として公開していきます。
私たちと一緒にファッションの研究に挑戦しませんか?スタートトゥデイ研究所では豊富なデータ資産と潤沢な予算のもと研究を行うことができ、国内・国外を問わず業務として学会に参加できます。もちろん、論文を書くだけでなく研究成果を実際のサービスへ実装することでたくさんのユーザーに貢献することもできます。また、MIRU若手Pのような機会への参加を応援してくれる自由な社風があります。 ご興味のある方は、以下のリンクからぜひご応募ください! www.wantedly.com

また、私たちの持つデータ資産を活用した共同研究の募集も行なっております。画像認識・機械学習はもちろん、社会科学や認知科学などファッションに関わる幅広い分野で研究を行いたいと考えていますので、ご興味のある方はぜひ以下のリンクからご連絡ください!
https://www.starttoday-tech.com/contact/www.starttoday-tech.com

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