ZOZOテクノロジーズのオープンソースソフトウェアポリシーを策定しました

OGP

こんにちは。MLOpsチームリーダー兼プラットフォームSREチームリーダーのsonotsです。今年の4月からZOZOTOWNリプレイスプロジェクトにも関わるようになりました。Zoomの背景画像を「進め!電波少年」にしてみても、チームの若者に伝わらないのが最近の悩みです。

今回の記事は、昨年度にタスクフォースとして発足したOSSポリシー策定委員会を代表して、今年の4月に弊社で策定したOSSポリシーについて紹介します。

OSSポリシー策定の背景と目的

弊社でもOSSを利用・貢献・公開しているメンバーが増えてきています。また、会社としても業界貢献、技術アピールの側面からOSS活動を奨励したいという想いがあります。

しかし、弊社にはOSSポリシーが存在しなかったため、相談を受けた際にCTO室が都度判断するという状況がしばらく続いていました。都度判断ではスケールしないため、「社員がOSS活動しやすいようにする」ことを目的として、CTO室からの依頼でOSSポリシー策定委員会が発足され、OSSポリシーを策定することとなりました。

代表を務めた私(そのっつ)個人としては、OSSポリシー策定にあたって以下のような想いを抱いていました。

  1. OSS開発は公私混同しがちなので、いっそのことそれが許されるようにしたい
  2. 社内秘伝パッチをあてて、本家にPRを送らないような事例は、負債にもなる(バージョンアップのたびにパッチをあてなければならない)ので極力なくしたい

特に 1. は著作権法や就業規則に絡んでくるため、エンジニアだけではなく、法務、労務のメンバーにも委員会に入ってご協力頂きました。

就業規則の改定も行い、取締役会での承認を得ました。

他社事例

OSSポリシー策定にあたっては、事前に他社事例を調査し、以下を参考にさせて頂きました。

特にサイボウズのOSSポリシーは、私の思想に近いものがあり、今回おおいに参考にさせて頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。

著作権の帰属と職務規定

上述した私の想いである「1. OSS開発は公私混同しがちなので、いっそのことそれが許されるようにしたい」という課題をクリアするためには、いくつかの壁がありました。

第一に、弊社の就業規則に以下のような記述がありました。

職務著作
(1) 従業員が職務上作成する著作物の著作権(著作権法第27条、第28条所定の権利を含む。)は、会社に帰属する。

この規則により業務時間中に、入社以前から開発しているOSSをメンテナンスする場合や、他者OSSに送付するパッチを作成する場合でも、著作権が会社に帰属することになり非常に面倒です。弊社はフルフレックス制度を採用しているため、一度退勤してメンテナンス業を行い、終わったら出勤することでこの規則を躱すことはできますが、毎回やりたいことではありません。そこで取締役会にて相談し「OSS活動を行ったことによって作成した著作物については、別途定めるOSSポリシーに基づき、その著作権の帰属先を判断する」という一文の追加を許可して頂きました。OSSポリシーについては後述します。

第二に、就業規則に以下のような記述があり、OSS活動は職務に入るのか否かが議論としてあがりました。

職務専念義務
(1) 勤務中は職務に専念すること

この点については、取締役会で「OSS活動は職務として認める」と決定して頂きました。

これらの結果、弊社では業務の一貫であるが個人の著作物としてのOSS活動を行うことができるようになりました。

本OSSポリシーの概要とポイント

今回作成したOSSポリシーはCC0ライセンスでGitHub上にて公開しています。また、社内にはOSS公開ガイドライン、OSSコントリビューションガイドライン、OSS利用ガイドラインを別途用意してあり、こちらのドキュメントも今後可能であれば公開していきたいと考えています。

本OSSポリシーは「社員がOSS活動しやすいようにする」ことを全面に押し出したポリシーになったと思います。本OSSポリシーには、以下のような特徴があります。

  1. 業務時間中であっても指示なく自発的に作ったソフトウェアは個人のものにできる(例えば.emacsや.vimrcなどを指していますが、それに限りません)
  2. 業務時間中に指示があって書いたソフトウェアでも著作権譲渡申請の許諾によって個人のものにできる
  3. 従業員が自己の所有するOSSプロダクトに対して自己が業務で作成した著作物を取り込む場合、著作権譲渡申請がなくても個人の著作物にできる

パッチについても同様に、自発的に書いたOSSパッチは個人の著作物とすることができます。上長の明示的な指示のもと書かれたパッチにおいても、著作物譲渡申請を行うことで個人の著作物とすることができます。

  • ガイドラインおよびポリシーに準拠している限りは、OSS公開時に許可を得る必要はありません
  • ガイドラインおよびポリシーに準拠している限りは、OSSコントリビューション時に許可を得る必要はありません
  • CLA (Contribution License Agreement) 同意を求められた場合も、許可を得ずに当社を代表して署名できます

おわりに

今年の4月に策定したZOZOテクノロジーズ オープンソースソフトウェアポリシーについて紹介しました。これにより非常にOSS活動しやすい組織になったと自負しています。

OSSポリシー策定にあたり、社内で委員会を発足し、関係各所のご協力をいただきました。委員会のメンバーに御礼申し上げます。特にtakanamitoにはOSS公開ガイドラインも書いて頂き大変助かりました。

ZOZOテクノロジーズではOSS活動を奨励しています。OSS活動により会社および業界に良い影響を与えてくれるメンバーを絶賛募集中です。ご興味のある方は、以下のリンクからぜひご応募ください!

tech.zozo.com

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