CES 2026 現地レポート ── XR Tech、Fashion Tech、そしてBeauty Techの現在地

CES 2026 現地レポート ── XR Tech、Fashion Tech、そしてBeauty Techの現在地

こんにちは、XR × Fashion TechやXR × Beauty Tech領域の取り組みを推進している創造開発ブロックの@ikkouです。

2026年1月6日から9日の4日間にかけてラスベガスで開催された「CES 2026」に一般参加者として現地参加しました。個人としては7回目、ZOZO所属としては5回目の参加です。継続参加し、業界動向を定点観測しています。

前半はCESの概要と関連する情報のアップデートを、後半は特に私が注目したトピックについてお伝えします。

CES 2026全体のトレンドについては、会期中に配布される「CES Daily」(デジタル版)の Day 1Day 2Day 3などもあわせてご覧ください。

CES 2026の概況

今年のCESは「人が戻った」だけでなく、“会場の重心”がLVCC中心から周辺会場に少し移動したように感じました。

  • 大手企業の出展の仕方が変わり、LVCCの景色が去年と違う
  • 一方で来場者は増え、移動のボトルネックは相変わらない

このあと前半で全体像、後半でXR Tech、Fashion Tech、Beauty Tech目線の“刺さった展示”をまとめます。

数年来の工事が完了して綺麗に整備されたLas Vegas Convention Center

CESCTA(Consumer Technology Association)が主催する、毎年1月にラスベガスで開催される世界最大級のテックイベントです。公式サイトでは「The Most Powerful Tech Event in the World」と表現されています。「セス」と呼ぶ方もいますが、正しくは「シーイーエス」です。CESはかつて『Consumer Electronics Show』と呼ばれていましたが、現在この表記は使用されていません。現在は「Consumer Electronics Show」の表記は前面に出されず、CESとしてブランド化されています。

CES 2026のメインテーマは「Innovators Show Up」

メインテーマが掲げられているVenetian 2Fのサイネージ

CES 2024の「All ON」、CES 2025の「DIVE IN」に続くCES 2026のメインテーマは「Innovators Show Up」でした。*1

"CES is where innovators show up, business accelerates, partnerships ignite, and technology transforms real-world challenges into bold opportunities"

CTA CEOのGary Shapiro氏は上記のように、CESはイノベーターが集う場であることを強調しています。

CES 2026の6つのトレンドと49のカテゴリー

CESには毎年CTAの打ち出すトレンドがあり、2026年のトップトレンドとして、次の6つが挙げられています。*2

  • AI
  • Digital Health
  • Energy
  • Enterprise
  • Mobility
  • Robotics

「AI」「Digital Health」「Mobility」は昨年に引き続きトップトレンドとして挙げられています。一方、昨年のトップトレンドであった「Energy Transition」「Quantum」「Sustainability」は外れ、新たに「Energy」と「Enterprise」が加わりました。

トップトレンドとは別に、次に挙げる49の技術領域が公式カテゴリーとして設定されています。

Accessibility, Accessories, Additive Manufacturing & 3D Printing, AgTech, Artificial Intelligence, Audio, Beauty Tech, Biotech, Blockchain & Digital Assets, Cloud Computing, Computing, Construction & Industrial Tech, Content & Entertainment, Cybersecurity, Digital Health, Drones, Education Tech, Energy Transition, Enterprise, Fashion Tech, Fintech, Fitness, Food Tech, Gaming & Esports, Home Entertainment & Office Hardware, Imaging, Investment & Venture Capital, IoT/Sensors, Lifestyle, Longevity, Marketing & Advertising, Next G, Pet & Animal Tech, Quantum, Retail/E-Commerce, Robotics, Smart Communities, Smart Home & Appliances, Sourcing & Manufacturing, Space Tech, Sports, Startups, Streaming, Supply & Logistics, Sustainability, Travel & Tourism, Vehicle Tech & Advanced Mobility, Video & Display, XR & Spatial Computing

私が特に注目しているカテゴリーは太字で示しています。CES 2025では「AR/VR/XR」がカテゴリーとして設けられていましたが、今年は「XR & Spatial Computing」と名称が変更されました。同様にいくつかのカテゴリー名が変更された一方で、「Cryptocurrency」「Metaverse」「NFT」などは外れています(それらのカテゴリーの出展が完全になくなったわけではありません)。

CES 2026におけるメガトレンド

先に発表された6つのトップトレンドとは別に、CTAはトレンド予測セッション「Trends to Watch」で2026年のメガトレンドとして次の3つを挙げました。

  • Intelligent Transformation
  • Longevity
  • Engineering Tomorrow

なかでも「Longevity(ロンジェビティ)」、つまり「長寿、健康」に関するAgeTech、LongevityセクターはCES 2026の会場内でも多く見かけました。健康寿命を延ばすことに関心が高まっていることを示しています。

このセッションはメディア向けセッションのため現地では聴講していませんが、アーカイブ動画PDF資料が公開されています。CTAの謳うテックトレンドに少しでも興味がある方は、一度は目を通すことをおすすめします。

出展社数と参加者数の推移

出展社数は過去最高タイだったCES 2025の4,500社以上から4,100社以上に減少しましたが、参加者数はコロナ禍以降では過去最高の148,000人以上となりました。2018〜2026年の出展社数と参加者数の推移は以下の通りです。

年度 出展社数 参加者数
CES 2018 3,900社以上 182,198人*3
CES 2019 4,500社以上 175,212人*4
CES 2020 約4,500社 171,268人*5
CES 2021 約2,000社 約80,000人
CES 2022 2,300社以上 44,000人以上
CES 2023 3,200社以上 117,841人*6
CES 2024 4,300社以上 138,789人*7
CES 2025 4,500社以上 142,465人*8
CES 2026 4,100社以上 148,000人以上

CESの参加者数は各年のATTENDANCE AUDIT SUMMARYに1桁単位で精密な数字が公表されています(コロナ禍の影響で完全オンライン化された2021年とハイブリッドで開催された2022年は公式発表なし)。これは参加バッジの発行数をもとにした、重複なしの参加者数です。CES 2026の正確な参加者数は後日公開される見込みです。

CES 参加バッジの価格

CESへの参加には参加登録が必要です。メディアやインフルエンサーではない一般参加者は有償で参加バッジを得られます。

参加バッジは紛失時に350 USDの手数料がかかるので要注意

CES 2026の参加登録は昨年同様9月11日に開始され、通常のチケットであるExhibits Plus Passの価格は同12月1日までの早期登録が149 USD、以降は350 USDでした。私は昨年に続き過去回の参加者特典により無料でした。

参加バッジは空港で受け取るとスムーズ

過去に一度だけCES公式のセッションを聴講するためのカンファレンスプログラミングパスを追加しましたが、以下の観点から今年も追加せずにブースのみを巡りました。

  • カンファレンスに参加するとブースを巡るための時間を削減せざるを得ない
  • 多くのセッション動画は後日アーカイブ動画として無償で公開される

セッション以外の動画も含まれていますが、実際にCES 2026関連の公式アーカイブ動画は500本以上が公開されています。

会場の概要

Image source: https://www.ces.tech/explore-ces/maps-and-locations/

CESの展示会場は昨年同様、LVCC CampusVenetian CampusC Space Campusの3つで構成されています。

LVCC Campus

大きく様変わりしたLVCC Centralの内部

LVCC CampusはLVCCことLas Vegas Convention and World Trade CenterのWest Hall・North Hall・Central Hall・South Hallを中心に構成されていて、CESのメイン会場とも言えます。特にCentral Hallは大規模工事を経て外観・内観が大きく変わりました。CES 2025以前の参加者はその変化に驚いたはずです。

GoogleはCVSやSphereでGeminiやAndroid XRをアピールしていた

今年は、CESの初回となる1967年から58年間連続で出展してきたSonyをはじめとして、Google、Samsungなどの大手企業がLVCCでの出展を取り止めています。もっともSonyはSony Honda Mobilityとしてブースを構え、販売を控えるAFEELAを大々的にアピールしていました。参加バッジのストラップもSonyではなくSony Honda Mobilityでした。また、Googleは会場外でGeminiやAndroid XRをアピールし、SamsungはWynnに独自のブースを構えていました。

昨年に続きWestgateは会場として利用されず、CES Foundryや後述するNVIDIA Live、NVIDIA Showcaseの会場として、2023年12月にオープンしたラスベガスで最高層のFontainebleau Las Vegasが追加されました。

Venetian Campus

Venetian Expoの2Fから1Fを俯瞰する

Venetian ExpoはCESの1か月前に開催されるAWS re:Inventでもお馴染みのVenetianを会場として、スタートアップ企業の集まるEureka Parkが設けられています。

Eureka Parkで勢いを増しているKorean Tech
Image source: https://exhibitors.ces.tech/8_0/floorplan/?st=country&hallID=M&sv=South%20Korea

このEureka Parkには、スタートアップ企業による個別のブースとは別に、特定の国が1カテゴリーとして集まっているという特徴があります。これまではフランス発のLa French Techが非常に目立っていましたが、近年は韓国発のKorean Techが勢いを増しています。

JETROが支援するJapan Pavilionとクリエイティヴ・ヴィジョンが推進するJAPAN TECH

日本発としてはJETROが支援する「Japan Pavilion」から31社、クリエイティヴ・ヴィジョンが推進する「JAPAN TECH」から37社がEureka Parkにブースを構えていました。

その他の会場

C Space Campusは主にマーケター向けの会場で、CESの出展社や参加者がビジネスミーティングするためのスペースが提供されています。

その他、前述の通りSamsungやMetaはCESのプログラムとは別に、Wynnに独自の会場を設けていました。ホテルの一室を利用してプライベートミーティングの場を設ける企業もよく見聞きします。

一般の来場者向けの会期は4日間ありますが、1人ですべての会場・すべてのブースを巡るのは非現実的です。私は今回、到着日をDay 0として、Day 3まで滞在し、以下の行程で会場を巡りました。

  • Day 0:NVIDIA Live
  • Day 1:LVCC Campus
  • Day 2:Venetian Campus
  • Day 3:周りきれなかったLVCC CampusとVenetian Campus

会期中はとにかく歩き回りました。歩きやすい履き慣れた靴の準備が欠かせません。今年はOnのスニーカーを履いて臨みました。事前に訪れるブースを決めてルートを最適化して効率的に巡っているとはいえ、4日間の平均歩数は昨年同様に毎日20,000歩を超えていました。

会場間の移動

会場間の移動には時間がかかります。例年同様、会場間の移動には徒歩とVegas Loop、そしてライドシェアを利用しました。徒歩とライドシェアについての特筆すべきアップデートはありません。LVCCとVenetianの移動に使えるラスベガスモノレールや2階建てバスのDEUCE(デュース)、通常のタクシーも選択肢として挙げられますが、私はこれらを利用しませんでした。

日中は非常に混雑して会場間の移動には使えませんでしたが、Amazonの子会社であるZooxが2025年9月からラスベガス市内で提供している自動運転車による特定スポット間の移動も利用できました。

Vegas Loop

LVCC Central Underground Station

開通以降、毎回お世話になっているVegas Loopですが、今年も何度か利用しました。Vegas Loopはイーロン・マスク氏率いるThe Boring Companyが運営するLVCCの会場間を繋ぐ地下トンネルです。徒歩ではそれなりに時間のかかるルートを、Teslaで効率よく結ぶ交通システムです。

Vegas Loop Map Station Map(2026年1月20日現在)
Image source: https://www.lvcva.com/vegas-loop/

CES参加者向けの路線は、LVCCのWest Hall・Central Hall・South Hall間を結ぶ無償ラインと、LVCCからホテルを結ぶ有償ラインがあります。この有償ラインは、昨年のCES 2025時点ではRESORTS WORLD線しかありませんでしたが、CES 2025閉幕直後の2025年1月18日にWESTGATE RESORT線が開通、そして2025年4月8日にEncore線が開通しました。

運良く乗車できたVegas Loopを走るCybertruck

今回はLVCCからWynnへの移動時に一度だけ有償のEncore線に乗車しました。Vegas Loopを走っている車両はTesla Model S、3、X、そしてYの4種類ですが、時々Cybertruckが走っている姿を見かけていました。この機会に運良く乗車できれば、と考えていたところ、見事このEncore線でCybertruckに偶然にも乗車できました。

Vegas Loopのチケット購入ページ
Image source: https://lvloop.com/tickets

このVegas LoopはLVCC周辺だけではなく、将来的にはラスベガスの大通りを行き交うルートが計画されています。CES 2026の期間中も10:00から21:00までの時間限定ではあるものの、Resorts World Stationからハリー・リード国際空港へ向かう空港線が運行していました。今回は都合が合わず乗車できませんでしたが、片道12 USDとライドシェアよりも安価なので、次回ラスベガス入りする際には試してみたいところです。

Zoox

ZooxのカウンターがあるResorts Worldのエントランス前乗り場

It’s not a car.を標榜するZooxはラスベガスに登場した新しい「ロボタクシー」です。2020年にAmazonが買収し、現在は独立子会社として運営されていて、システムのバックエンドにはAWS(EC2, S3, EKS, CloudWatch)が使われています

2026年1月現在は、誰でも無料乗車できる形でラスベガスを、ウェイトリストに登録する形でサンフランシスコをテスト走行しています。

AWS re:Invent期間中も多くの方が乗車レポートを投稿していましたが、CES 2026でも多くの方が乗車していました。今後はSXSWの開催地であるオースティン、そしてマイアミへの展開が計画されています

ラスベガスのZoox走行エリア(2026年1月20日現在)
Image source: Zoox Android App

CES参加者の目線では、Vegas Loopが主にLVCCの会場間を繋いでいる一方で、Zooxはラスベガス市街のホテルやショッピングモールなどの施設を繋いでいます。ホテルからAREA15やTopgolf間の移動にも使えるので、市内観光の一環としても便利かもしれません。

Resorts WorldのZooxカウンター

私はVegas Loop StationもあるResorts WorldからZooxに乗りました。Zooxは2025年5月にResorts Worldの公式ロボタクシーパートナーになっていて、エントランスには有人のZooxカウンターが設けられています(記念撮影してもらえます)。

アプリで無人車両のドアを開ける直前の様子

Zooxの車両は完全に無人です。車両の予約はもちろん、ドアの開閉もすべてZooxアプリ経由で行います。このZooxアプリのインストールにはUSのアプリストアアカウントが必要です。JPリージョンのアプリストアアカウントではインストールできないので、Zooxに乗りたい場合は事前にアカウントの作成が必要です(もっとも開発者に属する多くの方は検証用途などで持っているとは思いますが)。

目的地に到着後、誰も乗せずに走り去っていくZoox

運転席もない自動運転車への乗車は初めての体験でしたが、特段の違和感を覚えることもなく、目的地までスムーズに到着しました。時期的に予約が集中していたため、私の利用時は30分以上待機しました。そのため日中の移動手段としては使いづらい場面もありますが、今後、車両台数や運用が拡充されれば、利便性はさらに向上すると考えられます。前述の通りMobilityはCES 2026のトップトレンドの1つです。特にラスベガスで開催されるテックイベントであるGoogle Cloud Next、re:Invent、そしてCESの参加者はぜひ乗車してみてください。

注目のトピック:XR Tech

CESのカテゴリーのひとつに「XR & Spatial Computing」が設けられています。これは私が強い関心をもって継続的に追っている技術領域です。このパートでは、それらをXR Techとしてまとめてお伝えします。

XR関連企業の出展動向

CES 2026全体を通して「XR & Spatial Computing」カテゴリーの出展社数は265でした。CES 2025では「AR/VR/XR」カテゴリーの出展社数は355だったので、昨年対比で90ブース減ったことになります。

LVCC Central Hallの会場地図
Image source: https://exhibitors.ces.tech/8_0/floorplan/?st=category&hallID=B

昨年同様、CES 2026では、LVCC Central Hallに「GAMING | XR」として分類された一画が設けられていました。

LVCC Central Hall内「GAMING | XR」エリアの会場地図
Image source: https://exhibitors.ces.tech/8_0/floorplan/?st=category&hallID=B

このLVCC Centralの「GAMING | XR」エリアにブースを構える「XR & Spatial Computing」カテゴリーの出展社数は32でした。このエリアは例年通り、Insta360、XREAL、Pimax Technologyなどの中国企業が目立っていました。

また、CES 2024まではXR関連エリアの設けられていたスタートアップ企業が集まるVenetian CampusのEureka Parkですが、今年もそういったエリアは見当たりませんでした。

CESでは毎年、デザインやエンジニアリングにおいて優れた製品を表彰するCES Innovation Awardsを実施しています。XR関連の製品はXR & Spatial Computingとして分類され、計12製品が受賞しました。いわゆるHMD型・眼鏡型のXRデバイスは次の5製品です。

CES Innovation Awardsの会場とQualcommのブースに展示されていたGalaxy XR

奇しくもAndroid XRのHMD型デバイスである「Galaxy XR」と眼鏡型デバイスである「XREAL Project Aura」の両方が受賞していました。しかし、いずれもデモとして試せる状態になっている動態展示はありませんでした。

出展ブースのXRデバイスから見るトレンド

CES 2026で体験したXRデバイス(HMD型・眼鏡型)の一部

例年通り、CES 2026でもたくさんのXRデバイスを試してきました。この写真はHMD型・眼鏡型のXRデバイスの一部です。

体感としてCES 2024では、まだHMD型のバリエーションを感じられましたが、CES 2025では、HMD型デバイスを抑えて一気に眼鏡型デバイスが増えました。そして今年のCES 2026ではさらにその傾向が強まり、とにかくたくさんの、それこそ食傷気味になるくらい多くの眼鏡型デバイスを見かけました。

この背景として以下の要因が考えられます。

  • 世はまさに“大AI時代”であること
  • 眼鏡型デバイスの先駆者である「XREAL」の成功
  • さらに後発にあたるMeta発の眼鏡型デバイス「Ray-Ban Meta」の大成功

中国企業の大攻勢

私自身は展示されていた眼鏡型デバイスのすべてを数えたわけではありませんが、英香港紙SCMPのレポートによると、眼鏡系デバイスは約60社あり大半を中国ブランドが占めていたそうです。また、中国メディア我爱音频のレポート曰くAI機能を持つ主要な眼鏡型デバイスは36種あり、中国メディア智东西のレポート曰く27社の中国企業が「AIスマートグラス、VR、AR」製品を展示していたそうです。

中国は、国家戦略として6,000元(2026年1月20日現在で約13.6万円)以内のスマートグラスを対象に価格の15%、500元(同約1.1万円)を上限に買い替え補助金の支給を公布し、2026年1月1日から施行したと報じられています。今後、デバイスの「生産」に加えて一般消費者による「購入」もいっそう加速することが予測されます。

中国系の眼鏡型デバイスを一手に引き受けるMeta-Bounds

中国系の眼鏡型デバイスを一手に引き受けるMeta-Bounds

EssilorLuxotticaがRay-BanやOakleyをはじめとする非常に多くのアイウェアブランドの眼鏡型デバイスを引き受ける一方で、「oppo」「ZTE」「ThinkAR」「Lenovo」をはじめとする中国系デバイスの多くをMeta-Bounds(莫界科技)が引き受けています。このMeta-Boundsのブランド名がMojieであり、CES Innovation Awardsで2製品がノミネートされています。

見かける機会の減ったHMD型デバイス

眼鏡型デバイスが増え続ける一方で、HMD型の新作はあまり見かけませんでした。既存デバイスを生かした展示という観点でも、前述の通りGalaxy XRの動態展示はなく、Apple Vision Proも“野良展示”を1件見かけただけでした。また、CES 2025で強く打ち出していたSonyのXYN Headsetは協業しているSiemensのブースで見かけた程度でした。もちろん見逃しているブースもあるかもしれませんが、全体的にHMD型デバイスの存在感は薄れている印象を受けました。

HMD型デバイスを打ち出し続けているShiftallとPimaxのブース

しかし、昨年から継続してLVCC Centralで出展しているShiftallの「MeganeX 8K Mark II」や、例年通り存在感を放っていたPimaxなど、HMD型デバイスを全く見なくなったわけではありません。また、後述しますが、今年はPlay For Dream社から“伏兵”も発表されています。

日本発企業が示したXRデバイス向け要素技術

眼鏡型デバイスではEssilorLuxotticaとMeta-Boundsの二強とも言えますが、複数の日本発企業からXR関連デバイスに生かされる新しい要素技術が発表されています。

www.youtube.com

例えばガラスで有名なAGCは、高屈折率ガラス基板など、次世代デバイスに必要な要素を兼ね備えた複数の要素技術を発表しました。今後、これらの技術はXRグラスメーカーに技術供与されそうです。

www.youtube.com

また、TDKはHapticセンサーやMeta-Optic Mirrorによる網膜投影技術を搭載したスマートグラスのソリューション「TDK AIsight」を発表しました。他にも、アルプスアルパインは触覚・嗅覚・聴覚を刺激する新しい五感刺激を発表するなど、技術立国として日本も存在感を見せていました。

XR Techのトレンドに引き続き、個人的に興味を惹かれたブースをいくつか紹介します。

Play For Dream

Play For DreamのMR R&Dプロトタイプ
Image source: Play For Dream Unveils MR Prototype at CES 2026

Apple Vision Proライクな製品で話題になったPlay For Dreamは、“事前発表なし”でMRのR&Dプロトタイプを発表しました。

G-X100-M1のリファレンスデザイン
Image source: 万有引力(宁波)科技有限公司

これは2025年12月に公開されたGravityXR(万有引力)G-X100を搭載したG-X100-M1のリファレンスデザインを採用したものと思われるデバイスです。現時点ではまだプロトタイプなのでこのままリリースされるとは限りませんが、リファレンスデザイン通りなら重量は93gで遅延はわずか9msという非常に軽量かつ低遅延なデバイスです。

Cellid

過去最大級のブースを出展していたCellid

ARグラス用ディスプレイを開発するCellidは、次世代ARグラス「HJ1 AI Smart Glasses」を展示していました。このデバイスは、Foxconn × Cellidによる取り組みで、Cellidはレンズ部のウェイブガイドを担当しました。そしてJorjin Technologies(Foxconn)はグラス本体を、GIS(Foxconn)は精密光学と表示関連を担当したそうです。

グラスを各パーツに分解した状態の展示

Cellidの特長のひとつである最大2000nitsの高輝度表示は美しく、約46gの軽量サイズでありながらEye Trackingモジュールを内蔵するなど、非常に期待できる眼鏡型デバイスです。

CellidはこれまでLVCC CentralではなくNorthに小規模なブースを構えていましたが、今年は同じNorthではあるものの壁際に過去最大級のブースを構えていました。グラスの表示部に関わる要素技術において突出している日本発企業であり、ここ数年の変化を見てきているだけに、個人的にも嬉しい気持ちになりました。

Even Realities

Even Realities

Even G1が日本で局所的な盛り上がりを見せた後、2025年11月に後継機となるEven G2を発売したEven Realitiesは満を持してCentral Hallに大きく洗練されたブースを構えていました。

Even RealitiesはXREALに代表されるような拡張ディスプレイの類いではなく、必要な情報を重畳することを目的としたスマートグラスです。カメラがついていないのでプライバシーの問題が起きず、何よりこのジャンルでは数少ない国内利用に必要な「技適」取得済みで、安心して使える点も魅力です。

当時のOculus Riftがそうであったように、XR関連デバイスにおいて日本は重要な市場のひとつと言えます。Mogura VR Newsのインタビュー記事によれば、実際にEven G2は日本の店舗がもっとも売れているそうです。今後の展開が非常に気になる、そしていわゆるキャズムを越える可能性のあるデバイスのひとつだと考えています。

Meta

Metaはプライベートブースの他に2か所のMeta Labを推していた

MetaはWynn内に商談を目的としたプライベートブースを構えていました。私はこのプライベートには行きませんでしたが、Metaの旗艦店であるMeta Labに行きました。

Wynn Plaza Shopsに店舗を構えるMetaの旗艦店Meta Lab Las Vegas

Metaは2025年10月に常設のMeta Lab Las VegasWynn Plaza Shopsにオープンしました。Meta LabではMeta AIグラスのRay-Ban MetaやMeta Ray-Ban Displayを購入できます。いずれも日本国内ではまだ購入できない眼鏡型デバイスです。

Meta Labで調達したMeta Ray-Ban Display(技適特例申請済み)

Meta Lab Las Vegasの存在は事前に把握していたので、あらかじめ予約した上で現地に赴き、その場でMeta Ray-Ban Displayを購入しました。このMeta Ray-Ban Displayは特に人気のデバイスで、生産数が限られているため予約なしでは購入できません。

CES初日、このMeta Ray-Ban Displayに大きなアップデートが入り、テレプロンプターやEMGリストバンドによる手書き入力など複数の機能が追加されました。

EMGリストバンドで自動車のナビを操作する
Image source: Garmin Newsroom

LVCC West HallのGarminブースでは、EMGリストバンドを自動車のナビ操作などに活用する実践的なPoCが紹介されていました。

Wynn内にオープンしていた特設のMeta Lab

また、Encore EsplanadeのAwakening theater付近にもうひとつのMeta Labを構えていました。こちらの店舗は予約の仕組みがなく、並んだ順の入店となっていました。

注目のトピック:Fashion TechとBeauty Tech

CES 2025に続き、CES 2026でも「Fashion Tech」と「Beauty Tech」のカテゴリーが設けられていました。また、同様にCES Innovation Awardsのカテゴリーとしても設けられていました。

CES 2026で「Fashion Tech」カテゴリーとして登録されているブース数は111、「Beauty Tech」カテゴリーとして登録されているブース数は121でした。

CES Innovation Awardsで2026 Honoree in Fashion Techを受賞したのは次の7製品でした。

同様に2026 Honoree in Beauty Techを受賞したのは次の10製品でした。うち4製品はL'Oréal Groupeで、業界随一の強さを感じました。

個人的に興味を惹かれたブースをいくつか紹介します。

Mode Wearablesの「ModeX Bomber Jacket」

Mode Wearablesの「ModeX Bomber Jacket」

ModeX Bomber Jacket」は、2026 Honoree in Fashion Techを受賞したモジュラー式スマートウェアです。スマートウェアと言えば、例えば2019年にLevi'sが発売した「Levi’s Trucker Jacket with Jacquard by Google」が思い浮かぶかもしれません。これはスマートフォンの拡張デバイスに近い立ち位置でしたが、ModeX Bomber Jacketは現代の利用シーンに即した機能を備えています。*9

Wearable charging, energy harvesting, and power transfer solutions.
Programmable illumination for signaling and fashion applications.
Haptic feedback systems for improved situational awareness.
Spatial computing products leveraging on-device AI.

眼鏡型デバイスが一般社会に普及した先には、特に消費電力の課題が考えられるので、こういったスマートウェアが必要になる未来が想像できます。

デジタルカラーチェンジネイルの「iPolish」

デジタルカラーチェンジネイルの「iPolish」

Eureka Parkにブースを構えていたフロリダ発の「iPolish」は、ネイルチップを含む専用のデバイスとアプリを使い、わずか5秒で400色以上のカラーを切り替えられるデジタルネイルです。百聞は一見に如かず、まずはX公式アカウントの動画を見てください。

これは映画「トータル・リコール」を想起させる体験で、印象に残りました(聞いたことがない方は「トータル・リコール ネイル」で検索してみてください)。原理としてはネイルチップに電気泳動フィルム(electrophoretic film)が貼り付けられています。いわゆるE Inkと似たような仕組みなので、色の変わり方に見覚えがある方もいるのではないでしょうか。

デジタルデバイスという制約があるため、例えばネイルチップのサイズを個々人に最適化するのは難しいといった課題があると思われますが、かなり興味を惹かれたデバイスでした。公式サイトでは2026年6月発送予定で95 USDのプレオーダーで受け付けていますが、残念ながら発送先に日本は含まれていませんでした。

カスタム3Dプリントシューズの「Fitasy」

カスタム3Dプリントシューズの「Fitasy」
Image source: Fitasy Unveils Breakthrough Technology Making Custom-Fit 3D Printed Shoes More Accessible and Affordable, Supporting Better Foot Health

Fitasy」は3Dプリンターで制作するシューズです。3Dプリンター×シューズの組み合わせは、例えば「STARAY」をはじめとして既に製品化されているものも多く、新規性は感じられない方が多いかもしれません。このFitasyはスマートフォンアプリでスキャンした足底面と側面にAIを組み合わせて正確な3Dモデルを作成し、そのデータに基づき、個々人に最適化したシューズを印刷するソリューションです。スマートフォンアプリで計測するという観点は「ZOZOMAT」に通じるものがあり、非常に興味を唆られました。

ラスベガスのメディア「FOX5 Vegas」にFitasyのCEOのインタビュー動画が公開されています。スキャンの様子も少し映っているので、興味のある方はぜひ見てください。2026年春に発送予定で210 USDのプレオーダーを受付中です。

www.fox5vegas.com

ReFaの「ReFa AI color recipe PRO」

CES初出展となったReFaのMTG社

ここ数年、美容系の国内企業がCESに初出展を果たしていますが、今年は美容機器のReFaを展開するMTG社がCESに初出展していました。ブースではよく見かけるReFaの製品群ではなく美容師向けのアプリ「ReFa AI color recipe PRO」を展示していました。

美容師向けの「ReFa AI color recipe PRO」

このアプリは「ハイトーンカラーの技術を、AIテクノロジーで再現するプロフェッショナル向け次世代ヘアカラーAIソリューション*10とのことで、ブリーチやカラーを日常的に行う派手髪クラスタとしても、特に関心を惹かれる製品でした。

花王の「my Symmetry & THE CORE」

花王のコンディショニング・ライフケアブランド「花王ライフケア研究所」によるTHE CORE

花王が2025年10月に立ち上げたコンディショニング・ライフケアブランド「花王ライフケア研究所」はJAPAN TECHブースのひとつとしてブースを出展していました。このブースでは、“8歩あるくだけで身体のゆがみを測定できる”アプリケーションの「my Symmetry」と、測定結果に応じて着用時のゆがみを補正するためのインソール「THE CORE」を展示していました。

カテゴリーとしてはHealth Techの方が相応しいかもしれませんが、身体の歪みを補正するソリューションはBeauty Techにも通じるものがあると考えています。ちなみに私の総合スコアは32点でした。しばらくこのアプリを利用してみます。

Perfectの「YouCam AI API」

Perfectの「YouCam AI API」

ZOZOは2022年4月から「ZOZOCOSME」でARメイクを提供しています。このARメイクにパーフェクト社が提供するソリューションを利用しています。そのパーフェクト社はCES 2026では次世代「AIビューティーエージェント」を展示していました。また、「The New Retail Experience in the AI-Powered Store」と題したセッションに登壇していました。

注目のトピック:その他

一部、XR Tech・Fashion Tech・Beauty Techを含むものの、その他の気になった展示を紹介します。

NVIDIA

NVIDIAショーケースの巨大オブジェ

NVIDIAはCES本編とは別に、FontainebleauのBleauLive TheaterでCEOによる講演「NVIDIA Live with CEO Jensen Huang」があり、講演後からFontainebleau 4FのCobalt Foyerでショーケースとして関連する様々なものを展示していました。私はラスベガスに到着したDay 0に講演に現地参加し、展示も眺めてきました。

革ジャンが代名詞となっているNVIDIAのフアンCEOによる講演

非常に多くの人で賑わっていたショーケースの様子

講演とショーケースを通して感じたのはまさに王者の風格です。NVIDIAにとってもはやLVCCにブースを構える必要などないのかもしれません。NVIDIAに所以のあるブースにはNVIDIAのオブジェが置かれていたので、ブースは出さずとも、NVIDIAの存在をCES会場のいたるところで感じられました。

Samsung

SamsungのAIギャラリーゾーン

Samsungは1月4日のメディア公開後、1月7日までWynnの特別会場で「The First Look」と題したイベントを開催しました。前述の通りSamsungもこれまではLVCC Centralにブースを構えていましたが、今年は独自のブースを展開していました。

CES 2026の会期は1月9日まででしたが、Samsungの展示は1月7日までだったため、会期終盤に見られなかったという声もありました。ブース全体の様子を映した60秒動画がYouTubeに公開されているので、興味のある方は覗いてみてください。

パーソナライズされた美容ケアを実現するAI Beauty Mirrorと新製品のSamsung Galaxy Z TriFold

「AIライフパートナー」をテーマにしていたこともあってか、展示されていたものは家電をはじめとした生活に紐づくものが多く感じられました。Beauty Techに分類される「AI Beauty Mirror」は、いわゆるミラー系デバイスですが、オンデバイスで動作するAIが搭載されていることや、偏光ミラーとハーフミラーの組み合わせによって鮮明な映像を実現していることが特長的でした。*11

In the next area, visitors entered a space modeled after a powder room where a circular mirror revealed itself as the AI Beauty Mirror. Powered by on-device AI, the technology signalled Samsung’s technology expansion into the beauty space.
The hybrid design combines a polarised mirror with a half mirror to improve reflectivity and transparency, delivering clearer, more precise visuals.

このデバイスは韓国ビューティー大手であるAMOREPACIFIC社の技術を生かしたものです。その根底には2026 Honoree in Beauty Techを受賞した「Skinsight」の技術が取り込まれています。

一方で、そのテーマ性もあってか「CES Innovation Awards」で「2026 Honoree in XR & Spatial Computing」を受賞した「Galaxy XR」が、このSamsung特設会場のどこにも展示されていなかったことは、個人的には少し残念でした。

Razer

AIコンパニオンのひとりに日本人のSAOさんを起用したProject AVA

RazerはCES 2025で“AI esports coach”として発表していた「Project AVAを、CES 2026では“YOUR AI DESK COMPANION”としてその全貌を公開しました。

プライベートエリアに展示されていたデスクサイズのProject Ava

いわゆるポストGateboxとも言える“キャラクター召喚装置”は目新しいものではなく、2025年にKickstarterでクラウドファンディングを実施していた「CODE27」や、CES 2026にも出展していた「Dipal」や「Lepro Ami」などが挙げられます。そういった状況でこのAIが前提になった時代にRazerが本格的に参入してきたことは、潮目が変わりつつあると言えるかもしれません。

CES 2026の翌週、1月11日から13日にかけて開催されたNRF 2026GoogleはAgentic Shopping時代に向けた共通規格となる「UCP」を発表しました。もしかすると、こういったAIコンパニオンがその間に介在する未来も十二分に考えられるのではないでしょうか。

Robot, Robot and Robot...

数年前は「NorthはEVのCES」という雰囲気もありましたが、EV市場は頭打ちになりつつあると言われています。今年はそれらがロボットに置き換わっていました。トップトレンドにAIとRoboticsが含まれているだけあります。とにかく多種多様なロボットを見ました。ここで言うロボットは人型ロボットです。効率を最大化するとき、人型であることが最適解なのかは気になりますが、フィジカルAIの機運を感じられました。

Roboticsは専門分野ではないため深掘りはしませんが、DYNAの洗濯物を畳むロボットはとても印象的でした。興味があれば動画を再生してみてください。

おわりに

帰国時にハリー・リード国際空港で体験したAmazon Oneによる手のひら決済

例によって今回のCES視察は開発部門の福利厚生である「セミナー・カンファレンス参加支援制度」を利用しての参加となります。

昨年同様、今回もアメリカン航空の直行便を選択したためフライトは割高になりましたが、乗り継ぎがない分、時間を有効に使えました(ハワイアン航空のStarlink機内Wi-Fiにも惹かれましたが!)。CES 2027の開催日程は、今年と同じ日程の1月6日から9日の4日間と発表されています。参加意向のある方は、できるだけ早くフライトとホテルを手配すると良いでしょう。

例年通りのことですが、フライトとホテル以外にも一定の金銭的コストが発生しています。CESに限らず、海外で開催されるカンファレンスにおいては、そのコストに対して得られる成果に対するコストの正当性を説明するのは難しいかもしれません。しかし、XR領域は「百聞は一見ならぬ“一体験”にしかず」です。CESに関するニュース記事はCESの会期中から多く目にしますし、ChatGPTのdeep research機能などを使えば、ある程度の情報は得られます。現地に足を運び、自らの目と手で体験し、一次情報を得ることが重要だと認識しています。Zooxの乗車体験や、帰国時に体験したAmazon Oneによる手のひら決済も、一次情報を得る取り組みの一環だと考えています。

モーニングミーティングで訪れたご当地ファミリーレストランのBlueberry Hill Restaurant

そして、CESはビジネスショーという性質上、個別に会話するプライベートブースが用意されています。いくつか参加しましたが、こういったオンサイトならではの対面コミュニケーションも、インターネットメディアの記事等からは得られない大きなメリットだと考えています。わざわざ現地に赴いて参加するのであれば、あらかじめそういった場をセッティングしておくことを強くおすすめします。

最後までご覧いただきありがとうございました。来年もまた、CES 2027のレポートをお届けできるように努めてまいります。

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以上、現地からのレポートでした!

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