はじめに
こんにちは。Developer Engagementブロックの@wirohaです。2月14日に「ZOZO Tech Meetup ~データサイエンス~」を開催しました。ZOZOTOWNを支える開発において「データサイエンス」にフォーカスして、弊社データサイエンティストが具体的な事例を交えながら紹介するオフラインイベントです。
登壇内容まとめ
ビジネスアナリティクス部から次の3名が登壇しました。
発表タイトル | 登壇者 |
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因果推論が浸透した組織の現状と未来 | マーケティングサイエンスブロック 茅原 |
難題に挑むデータアナリティクス:意思決定を支える分析の舞台裏 | データサイエンスブロック 橘 |
中途入社1年目社員が語る!ZOZOのデータ分析組織の魅力 / 意思決定の"正しさ"を測れるようにした話 | マーケティングサイエンスブロック 佐々木 |
因果推論が浸透した組織の現状と未来
茅原からは因果推論(因果関係を統計的に推論すること)が浸透しているZOZOにおいてどのような課題が生じているか、またその対策について発表しました。部門内外でのナレッジシェアが活発に行われているのを感じました。
難題に挑むデータアナリティクス:意思決定を支える分析の舞台裏
橘の発表では、難題を「技術的新規性×事業的複雑性」と定義し、これまでの事例を分類して解説しました。難易度の高い案件の解決方法は参加者の参考になっていたと感じます。
中途入社1年目社員が語る!ZOZOのデータ分析組織の魅力 / 意思決定の"正しさ"を測れるようにした話
佐々木からの発表で、分析部門が相対する事業部の社員はSQLを習得済みであると語ったところ、参加したみなさまは驚いていたようです。発表後のAsk the Speakerの時間でも「どうしたらこういう組織を作れるのか」といった話題がよく出ていました。
(2025/03/13追記)質問への回答
開催後のアンケートにて多数の質問をいただきました。この場にて回答いたします。
Q. 事業部門とのコミュニケーションをとるときに意識していること(特に分析のリテラシーが高くない場合)、各事例のプロジェクト運用についても詳細を知りたいです。大きなプロジェクトは運用も大変なのかなと予想しています。
A. 事業部門とのコミュニケーションでは特に「寄り添い」と「染み出し」を意識しています。まずビジネス部門に寄り添い、相手の真意を汲み取った上で使いやすいアウトプットを設計します。その上で、分析側がビジネス部門側へ染み出し、ビジネス部門側の課題設計や方針検討など、分析の根本の部分から並走して進めることを意識しています。また、各事例でのプロジェクト運用について、大きなプロジェクトでは積極的に小さなタスク粒度にブレイクダウンした上でのゴール設計を行っています。こうすることで、短いスパンで方針の再検討でき、大きなプロジェクトにありがちな「完了してからゴールがズレていることに気づいた」といった事例を防ぐことができます。
Q. 難題がどうかを分けるメリットについて。スケジュールやアサイン調整に利用するとか浮かんだのですが、他に案件難度を定量化する先のメリットがあれば、お伺いしたいです。
A. おっしゃる通り、スケジュールやアサイン調整に利用します。他の用途としては、半期に1度の評価の際に自分の成果を定量的に示すために使ったりします。
Q. ゆっくり配送のような難題案件を対応する際はアナリスト何名くらいで行なっているのでしょうか。また、ビジネス側なども含めてどのような業務分担で実施しているのでしょうか。
A. アナリスト側はシニア1名、レビュアー(マネージャー)1名の体制が基本です。シニアがビジネス側のMTGに参加し、困ったときはレビュアーに相談という形ですが、案件の難易度によってはレビュアーも全MTGに参加することがあります。ビジネス側は事業や施策の担当者が1~2名、開発が伴う場合は要件に合わせて各チームから担当者が付きます。大規模になると、全体を取りまとめるPMがアサインされる場合もあります。
Q. 施策の内容的に長期的影響(購買頻度の変化)とかも重要なのではと思ったりしたのですがどうでしょうか?
A. おっしゃる通り長期的な影響もあるかもしれないのですが、送料無料CPについては月単位の予算を達成するためのギャップフィル施策として月に複数回実施しているため、現状は長期的な影響を気にしていません。
Q. 三つ目の発表に関して、意思決定後にKPIをフォローし上手く行かなかった際の組織的な振り返りについてどのようにされているかお伺いしたいです。
A. 「なぜうまくいかなかったのか?」について事業部とディスカッションを行っています。
- 想定通りの事象が起きていたがKPIは下がっていた
- 想定通りの事象が起きておらずKPIは下がっていた
の切り分けを行ったうえで、各要因の仮説出し・検証を行います。
Q. 中途入社1年目社員が語る!ZOZOのデータ分析組織の魅力 / 意思決定の"正しさ"を測れるようにした話について、事業部の人がクエリを書けるとそれで簡単な検証ができてしまい、専門チームのバリューが少なくなりそうとおもいました。特に因果推論みたいな保守的な手法はかなりクリティカルかなと思うのでもっと聞いてみたかったです。
A. ご記載いただいている通り難度の低い検証は事業部の方でも可能ではありますが、他の部分で専門チームのバリューを発揮できると考えています。例えば、次のような部分です。
- 簡単な検証が可能となるような施策及びABテスト設計
- 検証後の「ではどうしたら良いのか?」という部分に対する示唆だし
発表でも記載している通り、「数値抽出」ではなく「意思決定への寄与」が分析チームに求められる部分のため、「専門チームのバリューが少なくなる」とはとらえていません。むしろ逆に、事業部が単独で簡単な検証を間違えずに行える環境・ルールを作り上げていくのも専門チームの役割と捉えています。全社の意思決定の加速を考えた時、分析チームがボトルネックにならない体制を作り上げていきたいです。
最後に
本イベントでは発表中、多くの参加者が熱心にメモを取っており、高い関心が伝わってきました。発表後は参加者・登壇者がカジュアルに質問をし合いながら交流し、より深い情報や各社の悩みを共有する機会となりました。今後もこういったイベントを開催していきますので、ぜひご参加ください!
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